ギャンブル依存症と意思決定における柔軟性の欠如に関する研究
Jara-Rizzo, M.F., Navas, J.F., Rodas, J.A. et al. Decision-making inflexibility in a reversal learning task is associated with severity of problem Decision-making inflexibility in a reversal learning task is associated with severity of problem gambling symptoms but not with a diagnosis of substance use disorder. BMC Psychol 8, 120 (2020). Available at: https://doi.org/10.1186/s40359-020-00482-6
内容
ギャンブル依存症やギャンブル障害のある人の意思決定は著しく柔軟性に欠けていますが、フィードバックからの学習の異常がギャンブル特有のものなのか、それともギャンブルの文脈を超えたものなのかは、未解決の問題となります。
一般的なギャンブル依存症を含む依存性障害は、フィードバックに基づく意思決定の柔軟性の個人差によって促進されると提唱されており、研究室では確率的反転学習課題(PRLT)を用いて研究が行われています。
この研究では依存性障害と診断され、ギャンブル依存症を訴えている治療希望者25名と、対照者25名をグループ分けしました。グループ間でのPRLT学習曲線の形状の違いを検証するだけでなく、ギャンブル依存症の症状の重さを特定することの影響を、グループ分けとは別に評価しました。
これまでの方法論上の問題を克服するために、一般化混合効果モデルを用いて、完全習得曲線と再習得曲線をフィットさせました。
結果
(1) コントロールは、グローバルなPRLTパフォーマンスにおいて患者と有意な差はなく、意思決定における柔軟性の欠如という特異な兆候も見られなかった。
(2)グループ所属のコントロールの有無にかかわらず、ギャンブル依存症の重症度は、成功条件反転段階でのより非効率的な学習と特異的に関連していた。
結論として、ギャンブル依存症と意思決定の弱さは関係している面もあるが、依存症になるような環境にいることもより問題視されました。尚、物質乱用との関係は不明であった。