ソーシャルメディアユーザーの不均衡な削除と異なるコンテンツモデレーションの経験。
Disproportionate deletion and different content moderation experiences of conservative, transgender, and black social media users: gray areas of marginalization and moderation
Proceedings of the ACM on Human Computer Interaction Volume 5 CSCW2 October 2021 Article number: 466 pp 1-35 https://doi.org/10.1145/3479610
内容
本研究では、どのようなタイプのソーシャルメディアユーザーが他のユーザーよりも頻繁にコンテンツやアカウントを削除しているのか、また削除されたコンテンツがグループ間でどのように異なるのかを明らかにするため、調査データの質的・量的分析を含む混合手法を用いて研究を行っていました。
ソーシャルメディアユーザーの3つのグループを分析していました。
・政治的保守派
・トランスジェンダーの人々
・黒人
これらのグループと他のグループを比較すると、これらのグループに属する人らのコンテンツやアカウントの削除が他のグループよりも頻繁に行われていることがわかりました。
しかし、それぞれのグループで削除されたコンテンツの種類は大きく異なる結果となりました。保守派の参加者が削除したコンテンツには、攻撃的なものやその疑いのあるもの、誤報、Covid関連、アダルト、悪意のあるものなどが含まれていました。
トランスジェンダーの参加者から削除されたコンテンツは、サイトのガイドラインに沿ったものであっても、支配的なグループ(男性、白人など)を批判するものか、アダルトとして削除されていることが確認されました。
有色人種の参加者から削除されたコンテンツは、人種的正義や人種差別に関連するものが多いと報告されています。
保守的な参加者、トランスジェンダーや黒人の参加者が、サイトのポリシーに沿って削除されたにもかかわらず削除されたのは、コンテンツのモデレーションのグレーゾーンに分類され、取り残されたアイデンティティの表現に関連する内容が多かったそうです。
そこで本研究では、コンテンツ・モデレーションのグレー・エリアを具体的に受け入れて設計するなど、取り残されたソーシャルメディア・ユーザーにとってコンテンツ・モデレーションをより公正なものにするための潜在的な方法について述べていました。