ヒトの経口グルコース検出には、甘味料経路とグルコーストランスポーター経路が関与しているという証拠が示されている。
Evidence that Oral Glucose Detection in Humans Involves Sweetening and Glucose Transporter Pathways
Publication date: October 6, 2021
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0256989
内容
味覚を刺激するブドウ糖は、二糖類のスクロースや果糖ぶどう糖液糖(HFCS)の形で、今日使用されている市販の砂糖甘味料の約半分を占めていることから、経口ブドウ糖は果糖と結合して食品の甘味に寄与していると推測されます。
本研究では、経口代謝グルコースシグナルの役割に関する最近のげっ歯類のデータを踏まえ、ヒトにおいても経口グルコースの検出に、クラス1味覚受容体T1R2/T1R3を介した従来の甘味伝達の追加経路が関与しているかどうかを心理薬理学的に検討します。
一連の実験では、T1R受容体阻害剤であるNa-lactizolを用いた場合と用いない場合の経口ブドウ糖検出閾値をスクラロースの閾値と比較していました。
次に、スクラロース、代謝されないグルコースアナログであるα-メチル-D-グルコピラノシド(MDG)、グルコース共輸送成分であるナトリウム(NaCl)をNa-ラクチゾールと併用した場合としなかった場合の経口グルコース検出閾値を比較しています。
最後に,グルコース,MDG,フルクトース,スクラロースの経口検出閾値を,ナトリウム-グルコース共輸送体(SGLT)阻害剤であるフロリジンの有無で比較しました。
これらの実験のいずれにおいても、グルコースが甘味受容体T1R2 / T1R3経路に加えて追加のシグナル伝達経路に関与していることを示す精神薬理学的データが示された。
Na-lactizolの添加は、ノンカロリー甘味料スクラロースの検出をグルコースよりもはるかに障害し、グルコースが追加のシグナル伝達経路を使用していることと一致し、Na-lactizolは、グルコースよりも非カロリー系甘味料であるスクラロースの検出を阻害しました。グルコースがナトリウム-グルコース共輸送体を利用していることと同様に、SGLT阻害剤であるフロリジンを添加すると、フルクトースではなくスクラロースよりもグルコースとMDGの検出が阻害されました。
この現象は、グルコースがナトリウム-グルコース共輸送体を利用していることを裏付けるものだとします。
以上の結果から、経口でのグルコースの検出には、2つのシグナル伝達経路が関与していると考えられるというものでした。