アルツハイマー病に対する高気圧酸素療法の神経学的影響
Hyperbaric oxygen therapy reduces vascular dysfunction and amyloid burden in a mouse model of Alzheimer's disease and in elderly patients
DOI:https://doi.org/10.18632/aging.203485
内容
血管機能障害の代表的なものにアルツハイマー病(AD)があり、加齢と絡み合って脳血流(CBF)の低下、ひいては低酸素状態を助長しているため、これに対する高気圧酸素療法(HBOT)が臨床的に用いられています。
この研究では、認知機能の低下を示すADモデルである5XFADマウスにHBOTを投与し、2光子ライブアニマルイメージング、行動課題、生化学的および組織学的分析を用いて治療効果を調べていました。
その結果、HBOTは小動脈の内腔径を増大させ、CBFを上昇させ、低酸素状態の減少に寄与した。さらに、HBOTは既存のプラークの量を減少させ、新しいプラークの形成を弱めることで、アミロイドの負担を軽減したことが示されました。
これは、アミロイド前駆体タンパク質の処理が変化したことと関連しており、Aβタンパク質の分解とクリアランスが増加するとともに、5XFADマウスの行動が改善されることが観察されました。したがって、HBOTの効果は、脳内の低酸素を減少させる血管の持続的な構造変化によって部分的に媒介されるという知見と一致していることから、ベースラインでの記憶喪失が顕著な高齢者にHBOTを照射したところ、CBFの増加と認知能力の向上が観察されたとのことです。
この結果は、低酸素症に関連した神経疾患、特にADと老化に対するHBOTの有効性を示すものであると研究者は述べています。
※一応、動物実験後に対ヒトの結果も出ていますが、すべての認知症例に有用かは知りません。