この研究では、群集免疫が重要でありながら誤解されている公衆衛生現象であることを説明しています。
Core concept: herd immunity is an important and often misunderstood public health phenomenon.
PNAS May 25, 2021 118 (21) e2107692118; https://doi.org/10.1073/pnas.2107692118
内容
SARS-CoV-2に対する「群集免疫」を獲得するためには、米国では人口の70~85%がワクチンを接種する必要があると推定されています。しかし、実際のところ、本当の数字はどうなのか?パンデミックが発生してから1年経っても、不確定要素が多すぎるわけです。
また、明確な閾値を示すことはできませんが、高い設定に至るまでには困難が伴うことが懸念されます。群集免疫の基本は、免疫を持った人が近くにいることで、まだ感染しやすい人を守ることだと言われています。つまり、集団の中に十分な数の免疫を持った人が存在することが、ウイルス経路の拡散に対する防護壁となるのです。
数学的計算
この数字から計算すると、季節性インフルエンザのR 0の1.3(11)よりは高いですが、麻疹のR 0の12~18よりはずっと低いです。したがって、感染者1人あたりの新規症例数が全体の平均で3人であることから、COVID-19の群集免疫の閾値は1-(1/3)、つまり0.67となります。
この結果は、SARS-CoV-2が衰退するためには人口の67%が免疫を持つ必要があることを意味するが、現実の世界ではそれほど単純ではありません。67%という答えを出した計算でも、人口がランダムに混ざり合い、SARS-CoV-2を持っている人が感染しやすい人口の場合、約3人に感染することが想定されています。
このように、不確定要素はあるものの、計算結果は「一過性の群集免疫」と考えることができます。ワクチン接種によって完全な免疫が得られるという仮定が事実であれば、ウイルスに感染して他の人に感染させる可能性はゼロになります。
そうすると、人口の67%が完全にワクチンを接種していれば、約3分の2の感染が減り、感染経路も3人ではなく1人になるはずです。しかし、未知数なのは、SARS-CoV-2に対する免疫をワクチンなどで獲得できるかどうかということだ。これはまだ答えが出ていない問題です。
そのため、群集免疫を獲得するためにワクチン接種が推奨されているが、多くの人がワクチンを接種したとしても、実際に群集免疫は何を表しているのか?という疑問には答えられません。
群れの免疫とは何を意味するのか?
群集免疫とは、マスクをするだけでも社会的な距離を置くことでR0を1以下にすることができるので、一種の群集免疫と見ることもできますし、人々の行動を変えることで感染者が少なくなるので群集免疫と見ることもできます。しかし、これでは集団が群集免疫になったとは言えません。群集免疫とは、予防接種と自然感染の組み合わせによって集団が免疫を獲得することを説明しています。
まとめ
群集免疫という概念は、あまり重要なものだと考えられていません。
だからこそ、パンデミックがどのように終息するかを見極める最良の方法は、現在も議論されています。ワクチン接種で集団免疫を目指すか、自然免疫で守るか、など。人為的なものが67%という目標を立てるのは簡単ですが、この数字が絶対的なものではないのも事実です。とはいえ、パンデミックの「終わり」がウイルスの終わりを意味しない可能性も高く、パンデミックが終わり、「通常」に戻ることを説明するには別の方法が必要かもしれません。