うつ病治療における吸入式亜酸化窒素の第2相試験の結果は?
A Phase 2 Study of Inhaled Nitrous Oxide for Treatment-Resistant Major Depression
Peter NAGELE, Ben J. PALANCA, Brit Gott, Frank BROWN, Linda BARNES, Thomas Nguyen, Willa Xiong, Naji C. SALLOUM, Gemma D. ESPEHO, Christina N. LESSOV-SCHLAGGAR, NISHA Jainism, Wei LAND WL CHEN, Helga Komen, Branden Yee, Jacob D. BORZENIUS, Alvin Jansky, Robert Gibbons, Charles F. ZOLAMSKY, Charles R. CONWAY
Science Translational Medicine June 9, 2021
解説
この研究の結果によると、うつ病患者の治療としての50%亜酸化窒素の吸入は、治療抵抗性大うつ病(TRMD)患者において早期に抗うつ効果を発揮するが、この濃度では副作用が発生する可能性があります。また、第2相臨床試験では、25%亜酸化窒素による1時間の単回治療の効果を調べたところ、50%亜酸化窒素と同等の効果が得られたが、副作用が有意に少ないことがわかりました。このように、低濃度の亜酸化窒素がTRMDの治療に有用であることが強調されています。
そもそも、50%吸入濃度の亜酸化窒素は、治療抵抗性大うつ病(TRMD)患者の抑うつ症状を改善することが示されており、今回の第2相臨床試験(NCT03283670)では、重症のTRMD患者24名を対象に、(i)50%亜酸化窒素、(ii)25%亜酸化窒素を1時間の単回吸入、(iii)亜酸化窒素を1時間の単回吸入で治療しました。
本試験(NCT03283670)では、重度のTRMD患者24名を3つの治療法にクロスオーバー方式で無作為に割り付けました。(i)50%亜酸化窒素、(ii)25%亜酸化窒素の1時間の単回吸入、(iii)プラセボ(空気/酸素)の3つの治療法にクロスオーバー方式で無作為に割り当てられました。ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS-21)の変化に着目し、その結果、プラセボと比較して抑うつ症状の有意な改善が認められました。( P= 0.01)
また、濃度に差はなく、有害事象は投与量に応じて有意に減少しました。( P< 0.001)