アスリートの腰痛とビタミン受容体
腰痛(LBP)はアスリートにもよく見られ、LBPは運動能力と健康に悪影響を与える可能性がありますが、アスリートのLBPの要因はとらえどころのないままであり、さらなる研究が必要とされています。
ビタミンD受容体遺伝子(VDR)FokI多型(rs2228570)の特定の遺伝子型および/または対立遺伝子の保有が、さまざまなスポーツ分野のアスリートにおけるLBPの危険因子であるかどうかを調査した研究となります。
この遺伝子型/表現型関連のケースコントロール研究には、
60人のイタリア人アスリートが含まれ、そのうち16.7%が水泳選手、11.7%がサッカー選手でした。
VDR -FokI多型は、LBPのある24人のアスリートとLBPエピソードのない36人のアスリートでPCR-RFLPによって測定され、FokI制限部位の不在または存在は、それぞれ「F」および「f」で示されました。他の危険因子は質問票によって評価されました。
結果として、
ホモ接合性FF遺伝子型は、LBPのあるアスリートの58.3%に対して、LBPのないアスリートの27.8%で検出され、調整済みOR = 5.78、95%CI 1.41–23.8、P = 0.015です。
F対立遺伝子はLBPを発症する2倍の危険因子であり、調整済みOR = 2.55、95%CI 1.02–6.43、P = 0.046でしたが、F対立遺伝子は保護的でした。毎日2時間以上の車両振動への曝露、および腰椎病変の家族歴は、それぞれOR = 3.54およびOR = 9.21のLBPの重要な危険因子でした。
結論として、ビタミンD受容体がアスリートの腰痛と関係している可能性が示されましたが、生化学的に証明するためには追加研究が必要とされています。
Cauci, S., Migliozzi, F., Trombetta, C.S. et al. Low back pain and FokI (rs2228570) polymorphism of vitamin D receptor in athletes. BMC Sports Sci Med Rehabil 9, 4 (2017). https://doi.org/10.1186/s13102-017-0069-x
まとめ
何故ビタミンD受容体?と思うでしょうが、ビタミンD関連が椎間板などの組織に関わりがあるのでは?というところから注目された結果がこの研究です。
関連していることは発見されましたが、それがどのようにして腰痛となるのか?ということについてはっきりしたことが不明な状態となっていました。上述にもありますが、長距離の車両振動や家族歴などの関連も示唆されていますが、これらもこの研究と関連しているのかは不明となっていますので、今後の研究に注目したい内容です。