関節が緩い人とそうでない人の筋力の違い
症状のない全身性関節過可動性(GJH)は、一般的にみられる臨床所見です。筋骨格の過度の柔軟性が存在する関節の不安定性は、筋肉収縮中に影響を及ぼすことがあります。ただし、GJHが筋力低下に関連しているかどうかは不明なため、この研究ではGJHの有無にかかわらず、無症候性の若年成人における上肢と下肢の筋力の違いを評価したものとなります。
166人の若年成人
53人の過可動性、25人の男性(平均年齢22±1.8); 28人の女性(平均年齢21±1.8)と、53人の非過可動性、25人の男性(平均年齢19±1.06); 28人の女性が参加者として選択されました。等速性ダイナモメーターを使用して、肘と膝の伸筋の等尺性強度を測定し、一方向ANCOVAを適用して、筋力に対する身長と体重の影響を制御しました。
結果として、
過可動性の男性参加者は、
・右(71.7 Nm、SD = 23.1、vs 97.6 Nm、SD = 47.4、p = 0.006 *)
・左(74.8 Nm、SD = 24.3、vs 97.7 Nm、 SD = 45.5、p = 0.007 *)
・肘伸筋と右膝伸筋(188.7 Nm、SD = 83.3、vs 228.3 Nm、SD = 106.7、p = 0.03 *)
女性では、
・両方の肘伸筋(右:51.9 Nm、SD = 16.2 vs 48.8 Nm、SD = 17.8、p = 0.4;左:48.9 Nm、SD = 17.2、vs 44.7 Nm、SD = 15.1、p = 0.2)
・膝伸筋(右:161.3 Nm、SD = 74.9 vs 145.5 Nm、SD = 75.8、p = 0.3;左:155.2 Nm、SD = 73 vs 124.3 Nm、SD = 69.6、p = 0.07)
筋強度については、過可動性のある参加者とそうでない参加者の間で統計的に異ならなかった。
結論として、男性の場合は過可動性がある場合は肘の伸展筋力と右膝の伸展筋力が有意に等尺性筋力が低いことがわかり、女性では両群に有意差がないという結果となりました。
Jindal, P., Narayan, A., Ganesan, S. et al. Muscle strength differences in healthy young adults with and without generalized joint hypermobility: a cross-sectional study. BMC Sports Sci Med Rehabil 8, 12 (2016). https://doi.org/10.1186/s13102-016-0037-x
まとめ
研究では、アジア人の若年成人に対して行われた結果となっているため、子供や高齢者となるとどうなるのかは不明ですが、臨床的にも活用できそうな内容でもありました。
私事として、自身の過可動性があるのでこの研究で何処まで当てはまるのか?と気になりながら閲覧していたのですが、確かに肘も膝も伸展する筋力は弱いことは自覚しています。
これはウェイトトレーニングやMMTなどで分かっていたことなので、単に苦手なのかとも思っていたのですが、過可動性が要因である説明が為されると納得せざるえません。とはいえ過可動性が治ることはありませんので、それに見合った筋エクサをするしかありませんが、こういった特徴を持つ人は運動時に怪我をするリスクはあると思っていてください。