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This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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健康な人がふくらはぎのマッサージをしても何の変化もないって研究

Friday, April 9, 2021

補完医療



脹脛のマッサージは意味がない

マッサージは、筋腱組織の柔軟性を改善したり、こわばりを軽減したりする目的で適用されることがよくありますが、そのような機械的効果が発生するという裏付けとなる証拠はありません。この研究の目的は、ふくらはぎの筋肉複合体の受動的な機械的特性に対するマッサージの効果を調査することにあります。

18〜45歳の29人の健康なボランティアを対象に、

脹脛の筋肉コンプライアンスと足首関節の背屈可動域(ROM)を、10分間の深部マッサージ、表面加熱の適用前、直後、30分後に計装フットプレートを使用して測定しました。

反復測定分散分析を使用して、テストセッションと介入のタイプの違いを判断し、測定方法の信頼性テストは、テストセッション内およびテストセッション間の分散分析を使用して実施されました。

結果として、

脹脛マッサージの適用の有無にかかわらず、脹脛の筋肉のこわばり、足首の背屈可動域に有意な変化はありませんでした。

セッション間、セッション内の信頼性は非常に高く、ICC> 0.88(p <0.001)でした。

結論として、脹脛の筋肉複合体の受動的な機械特性に対しては、マッサージをやっても何の変化はない、というものでした。

つまりは、運動前などに柔軟性を向上するために、脹脛をマッサージしても感覚的に変化が起きているだけで、機械的には変化がないということになります。

Thomson, D., Gupta, A., Arundell, J. et al. Deep soft-tissue massage applied to healthy calf muscle has no effect on passive mechanical properties: a randomized, single-blind, cross-over study. BMC Sports Sci Med Rehabil 7, 21 (2015). https://doi.org/10.1186/s13102-015-0015-8


まとめ 

この研究では、健康な人に対して行われた脹脛のマッサージが機械的な面に対して変化がない、といった結果となりました。因みに機械的な変化が起きた時は、長期的な介入でどうなるのかはわかっていませんので、この研究の結果が該当しないこともあります。

表面加熱、マッサージといった一般的に行われている脹脛への介入は、健康な人の場合は心理的な影響以外何もないということになります。可動域の測定などを伴ったり、自発的な筋収縮による変化などで、介入後の効果をアピールすることもありますが、バイアスによる結果であることは考えなければならないため、科学的根拠を用いて介入しますと言いながら、脹脛のマッサージは何やってんの?となる可能性があります。

気持ちを癒す、という時だけ利用されてはどうでしょうか?

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