腰痛に対するアドバイスの効果
急性腰痛(ALBP)により、苦痛や身体活動の制限などにより障害されます。腰痛が続く場合、日常生活動作の制限、欠勤、慢性的腰痛への移行などに繋がる可能性があります。この前向き無作為化試験によれば、日常的なケアで提供される2つの異なる治療アドバイスが身体活動とALBPの経過に及ぼす影響を評価しているものが示されています。
痛みの発症後、
48時間以内に検査された急性重症LBPの99人の患者は、「痛みにもかかわらず活動を続ける」(活動を続けるグループ)「痛みに合わせて活動を調整する」(活動を調整するグループ)の治療アドバイスにランダム化されました。
歩数計の歩数と痛みの強さ(数値評価尺度、NRS、0〜10)を7日間毎日追跡し、統計分析には線形混合モデリングを採用しました。
結果として、
歩数変化の軌跡は曲線形状を示し、最初の急激な増加は両方のグループで観察することが出来ました。3日後にプラトーに達し、その後活動を続けるグループのみで7日目にさらに増加しました。
1日目のステップ数に関して、活動を続けるグループでは4560歩でしたが、活動を調整するグループでは4317 歩となりました。(p = 0.76)ステップ数の変化の軌跡を表すパラメーターでは、2つのグループ間に統計的差異はありませんでしたが、ステップ数の増加は、アクティブなままのグループの方が大きい結果となっています。
7日目のステップ数に関しては、活動を続けるグループでは9865歩でしたが、活動を調整するグループでは6609歩となりました。(p = 0.008)
痛みの強さ(NRS)の軌跡は2つのグループで類似し、1日目から7日目まで活動状態を維持するグループでは5.0→2.8に直線的に減少し(p <0.001)、活動を調整するグループでは4.8→2.3に減少しました。(p <0.001)
結論として、活動を調整したり、積極的に促すアドバイスは「腰痛の痛み」に関しては有意な差はないが、活動を継続することに関しては、積極的に動き続ける方をアドバイスした方が有意な結果となっていました。
Olaya-Contreras, P., Styf, J., Arvidsson, D. et al. The effect of the stay active advice on physical activity and on the course of acute severe low back pain. BMC Sports Sci Med Rehabil 7, 19 (2015). https://doi.org/10.1186/s13102-015-0013-x
まとめ
急性腰痛症に対して、どうアドバイスしていいのかわからないという人にとっては、指標となる結果が得られる研究となりました。アクティブを継続することによって、腰痛症による身体的な疼痛や運動制限から起こる心理的な悪影響を回避する可能性としては、このアドバイスは適切と思われます。
しかし、入って1年目の新人が言うのと、ベテランの医療従事者から発せられるアドバイスとして、差がでるのでは?と思うかもしれませんが、患者が遵守するかどうかの条件として、「経験豊富な整形外科医が、迅速かつ包括的な検査」により影響された可能性があるようです。
これについては、経験年数によるものだけでなく、検査による態度が患者に影響する要因としてもあるため、誰が言うかによって異なってくるものと考えられています。
次に、このアドバイスによる再発や悪化に関する懸念ですが、研究介入中はそれらの現象を確認できていないようです。
臨床で活用するなれば、検査法などを適切に行えるように練習し、適切に状況を把握、説明し患者に指導する、という状況でこの研究のアドバイスが役に立つと思われます。