COVID-19パンデミックにより心理的ストレス増加
不安特性を持つ人と、ストレスに対して不適応な対処をしている人の場合、心理社会的ストレッサーにより知覚ストレスのレベルがさらに高まる可能性があります。調査研究では、COVID-19のパンデミックの中で、大学生のストレスや健康不安のレベル、対処スタイルを調査することを目的としたものです。
研究は、
寮が閉鎖されたハンガリーでのロックダウン中のデブレツェン大学でオンラインベースの調査を使用して横断的調査が実施され、教育は遠隔にて実施されました。質問票は、3つの評価ツール、すなわち、知覚ストレス尺度(PSS)、対処方法質問票(WCQ)、心気症目録(SHAI)を使用してデータを求めました。
結果として、
合計1320人の学生が研究に参加し、31人の不適格な回答は除外されました。
残りの1289人の参加者のうち、73.5%と26.5%はハンガリー人と留学生で、参加者の71.4%は女子学生となり、一般的に知覚されたストレスと健康不安の間には統計的に有意な正の関係がありました。
健康不安と知覚ストレスレベルは、国内の学生と比較して留学生の間で有意に高く、対処に関しては希望的観測は留学生のストレスや不安のレベルの上昇と関連していたが、目標志向の人であるということは反対の行動をとっていることがわかりました。
国内の学生の間では、対処戦略としての認知の再構築は、ストレスと不安のレベルの低下と関連し、健康不安に関しては女学生(国内および海外)は男性と比較して有意に高いレベルの健康不安を持っていました。
さらに、女子学生は留学生グループの男性と比較して有意に高いレベルの知覚ストレスを持っていたが、国内グループの男性と女性の間で知覚ストレスに有意差はなかった。
結論として、実家を離れ生活し、不適応な対処をとる学生ではストレスレベルの増加傾向が高く、特に女性は男性よりも優位にストレスが高くなりやすい傾向にあります。よって望ましい対処法を実践することが推奨されます。
Garbóczy, S., Szemán-Nagy, A., Ahmad, M.S. et al. Health anxiety, perceived stress, and coping styles in the shadow of the COVID-19. BMC Psychol 9, 53 (2021). https://doi.org/10.1186/s40359-021-00560-3
まとめ
ストレスに関する研究でしたが、ストレスを溜めやすい要因として、「実家を離れる」「希望的観測で過ごす」ことが挙げられた研究結果となりました。海外の研究であるため、留学生というワードが出てきましたが日本でも実家を離れ寮生活をしている人や、留学している学生は一般的にもある話であり、パンデミックの収束を願ったりするような希望的観測を持つことはストレスを増大する可能性があります。
研究内では、ストレスや不安に対処出来ている学生は、これらのパンデミックによる制限に対し、出来ることを「行動」することが見られており、現実を見ているか逃避しているかの大きな違いがあります。
パンデミックによりストレスや不安は誰にでもあることなので、個々で受け止め方が違うことによって、今後の分岐となるのかもしれません。