病みやすい完璧主義者
西洋文化の研究では、完璧主義が完璧主義の努力と完璧主義の懸念を含む二要素高次モデルによって概念化されていることを示していまが、東部社会における完璧主義の構成についてはほとんど知られていません。
したがって、イランの一般的、臨床的サンプルにおける完全主義の2因子高次モデルを検討した研究を紹介します。
研究は、
2016年9月~2017年12月にかけ、イランのテヘランから一般人口サンプル(n = 384)と大うつ病性障害、強迫性障害、社交不安障害、摂食障害の患者(n = 152)を募集しました。アンケートには完璧主義の目録、うつ病、不安、ストレススケールを評価しました。
結果として、
完全主義の2因子高次モデルは、一般集団、臨床サンプルからの女性のデータとの適切な適合を示し、男性のデータは一般集団からのみ入手可能であり、モデルは完全主義の懸念の反芻スケールを削除した後、最初にデータとの適切な適合を示しました。
完璧主義の努力の次元は、うつ病、不安、およびストレス症状との関連がないか、負の関連を示しましたが、完璧主義の懸念の次元は、男性と女性の両方のすべてのサンプルでこれらの指標と正の相関を示しました。
結論として、男女で異なる結果は出ていますが、女性では完璧主義に2因子が存在し、うつ病や不安、ストレス症状を発症しやすい完璧主義の傾向が明らかとなりました。
Moloodi, R., Pourshahbaz, A., Mohammadkhani, P. et al. Two-factor higher-order model of perfectionism in Iranian general and clinical samples. BMC Psychol 9, 30 (2021). https://doi.org/10.1186/s40359-021-00529-2
まとめ
昨今で性格特性の分析において、完璧主義者は弱点が多く、完璧主義でなくそうとする努力をする人もいるぐらいと聞きます。
そんな完璧主義には2つの傾向があり、性差によりますが精神障害を負いやすい傾向とそうでない傾向が西部社会だけでなく、東部社会でも共通していることが示された研究となります。
まず、努力型の完璧主義ですが、骨の折れる努力の労力から、本当の喜びの感覚を引き出し、状況が許す限り正確さを自由に感じない人と特徴が述べられていました。
次に神経症傾向の完璧主義ですが、自分の目で満足感を正当化するのに、十分なことをしているようには見えないので、満足感を感じることができないといった特徴が述べられています。
この2つには大きな違いがあり、満足感を得るために自分が行動しているのかどうか?というところに違いがあります。
研究では、完璧主義そのものは誰かに評価してもらうこと気にし、失敗などを恐れやすいとありますが、男性は過去の失敗を振り返らないなどの特徴も述べられています。女性に神経症的傾向の完璧主義が多いとありましたが、これは今までの社会的規範が影響しているようなので、昨今の女性が社会に参加する傾向から、変化はしてきそうな推測もなされています。
どちらのタイプにせよ、精神障害に対するアプローチを行い、自発的な行動を起こしていけば完璧主義だとしても努力型の方に寄せられる可能性もあるということがわかる研究でした。