KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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慢性的な痛みの感じ方でわかる心理状態

Monday, April 5, 2021

精神科

 

痛みの感じ方と心理的特徴

慢性的な痛みは感覚の感度を高め、うつ病などの心理的特性の偏った発達を誘発してしまうことになります。慢性疼痛患者の非損傷部位(正常な末梢組織を伴う)の感覚関連閾値の変動は、中枢性感作に関連していると考えられており、この研究では、非損傷部位の疼痛耐性閾値(PTT)と慢性疼痛患者の心理的特性との関連を分析し、慢性疼痛に関連する病的状態の評価におけるPTT測定の有用性を評価することが目的となっていました。


この研究には、

慢性的な痛みを伴う57人の患者が含まれており、PTTは電気刺激による定量的感覚検査(QST)を使用して、損傷していない部位で測定され、クラスター分析で分類されました。短い形式のMcGillPain Questionnaireを使用して、負傷した部位の痛みを主観的に評価しました。ミネソタ多面人格目録(MMPI)は、患者の心理的特性を評価するために使用されました。


結果として、

PTTのクラスター分析に基づいて、患者は高感度グループと残りの患者からなるその他のグループに分類され、MMPIプロファイルの結果は、高感度グループには神経症的トライアドパターンの患者が有意に多く含まれ、コンバージョンVパターンの患者は含まれていないことを示しました。心気症とヒステリーのスケールのスコアは、その他のグループよりも高感度グループで有意に低いこともわかりました。


Kato, F., Abe, T., Kanbara, K. et al. Pain threshold reflects psychological traits in patients with chronic pain: a cross-sectional study. BioPsychoSocial Med 11, 13 (2017). https://doi.org/10.1186/s13030-017-0098-4


まとめ 

この研究では慢性痛に悩む患者の中で、痛みに対して許容性が低い人らの特徴として神経的な特徴があることを示した研究結果となっていました。このことから慢性痛患者に対する時に、疼痛の出現していない場所で疼痛閾値を計測することが心理状態を評価することに役立つことになっています。

一般的に使われる内容ではないと思われますが、医療従事者らにとっては役に立つ内容だと思っていまして、あの時この結果を理解してれば、より寄り添えたのかもと思っています。

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