慢性疼痛に対するリハビリテーション
慢性疼痛に対する物理療法のエビデンスを述べていきます。
温熱療法
慢性腰痛に対する超短波を使用した深部組織を加温する方法については、痛みが僅かに軽減するといった研究結果もあるが、これらの研究デザインが盲検化、対照群の不十分さからエビデンスの質は低い。
変形性膝関節症に対する超短波を使用した研究では、その効果は確認できず、温水浴では僅かな疼痛軽減を示した結果はあるが、研究サンプル数が少ないため、限定的な結論と言えます。
よって、ガイドライン上では慢性疼痛に対する温熱療法の使用はあまり推奨されていません。
寒冷療法
変形性膝関節症に対する寒冷療法の研究結果は、疼痛軽減などの効果は確認されていないが、筋力増強という点では効果が確認されています。
しかし、慢性疼痛に対しては推奨されない療法としてガイドライン上には記載されています。
超音波療法
慢性腰痛に対する超音波療法に関しては、疼痛、機能的な部分に対して変化が見られた、という研究結果はありません、とガイドライン上に記述されています。
そして、変形性膝関節症に対しては疼痛軽減効果が確認はされていますが、低強度、または間欠的照射といった設定の元で得られている結果であるため、他の条件で再現できるかは不明となっています。しかし、これらの結果はサンプルデザインの不十分さや、反する研究結果もあるため、結論付けられているものではないということです。
経皮的電気治療
TENSとも呼ばれていますが、慢性腰痛、慢性頚部痛、変形性膝関節症に対して疼痛を軽減、機能改善するといった研究結果がないため、ガイドライン上では推奨されていない治療法と書かれています。
牽引療法
神経根症を伴わない慢性腰痛症に対して、僅かな疼痛軽減効果が確認されています。
まとめ
以上が慢性疼痛に対する物理療法で得られているエビデンスとなりますが、殆どの方法がやっても変化がない、少ないことから推奨出来るとは考えられていません。
この中から牽引療法だけは、行うことが弱く推奨されていますが、優先して行われるべき方法ではないということだそうです。つまりは、普段利用している温熱や冷却、電気、超音波治療などを「慢性的な痛み」に対して施行しても、効果として明確なものがないということも言えます。
それでも変化がある、という際は、研究デザインに当てはまらない条件下なのかプラセボなのかといったことが考えられますが、時間、お金を使ってまで積極的にやるべきか?と思います。よって医療サービスを提供する側としては、慢性腰痛、変形性膝関節症などに対しては積極的に施行しなくとも良いのではないかとも考えられます。