緊急事態宣言の効果
COVID-19パンデミックが始めまり1年が過ぎましたが、緊急事態宣言という措置のもと、感染拡大を抑制しようという働きがありますが、多くの人は緊急事態宣言というものの効果を「ない」ものとして認識している人もおられるようです。
そういう著者もその1人で、政府が定める政策には何とも言えない感があります。
研究結果では、
法的拘束力はありませんが、宣言により行動の抑制効果があることはわかりました。しかし、効果の大きさを測ることは困難であることもわかりました。
よって、経済効果とのトレードオフを考慮した場合、感染抑制効果を求めるならば、政策として「法的拘束力」の強いものが必要である。
Kenichi Kurita, Nobuaki Hori and Yuya Katafuchi (Forthcoming) Stigma model of welfare fraud and non-take-up: Theory and evidence from OECD panel data, International Journal of Economic Theory
という研究結果が、2020年の9月に発表されており、数値的なデータについては外出の動向などを確認したものによると、緊急事態宣言前の2020年1月3日~2月6日までのショッピングや娯楽、公園や出勤といった外出動向において、緊急事態宣言下では20%減少していることが述べられています。
ロックダウンには効果がある?
2020年4月2日~2020年5月12日の期間で、279,478人を参加させ、うち116,903人がアンケートを検証し、106,848人が分析に含まれました。62,099人/月の追跡調査中に、335件のCOVID-19様症状が報告されました。
発生率については、封鎖の15日目で6.2%、45日目で8.8%となり、CLSのリスクは少なくとも1人の子供、または青年が住んでいたときに、人口10万人を超える都市に住む参加者は、SARS-CoV-2感染の有病率が高いフランスの地域でより高い年齢層でより低くなりました。
ロックダウンを施行してから2週間は発生率が横ばいですが、その後は徐々に減少していく傾向となっています。
Carrat, F., Touvier, M., Severi, G. et al. Incidence and risk factors of COVID-19-like symptoms in the French general population during the lockdown period: a multi-cohort study. BMC Infect Dis 21, 169 (2021). https://doi.org/10.1186/s12879-021-05864-8
ロックダウンと緊急事態宣言の違い
緊急事態宣言では、飲食店の営業時間短縮、大型イベントの中止要請、スポーツ競技の無観客、中止を要請、外出自粛を要請といった内容で、ロックダウンは外出、公共交通機関、必要以外の店舗の営業、飲食店、娯楽施設、学校の閉鎖といった「制限」となっており、日本で発令されているものとははっきりと異なっています。
日本の場合は、法的措置がないため、行動などを自粛するようにお願いする形しかとれないようですが、日本の法律上では緊急事態宣言はロックダウンと同等であることも考えられます。
措置の性格性が違うため、心理的な圧力や同調効果などを求める分、誰かが外出しているから自分もいいや、となりやすいのが自粛要請とも言えます。
まとめ
新たに「アルコール類の提供を禁止」といった事項が増えた緊急事態宣言ですが、感染拡大を防ぐためには政府は国民に自主的行動を求め続けることは変わっていません。
一部地域では医療機関への救急が滞る事態にもなっており、医療機関を始めとして様々な業種に影響が起き始めているため、COVID-19感染の大したことなさ、ワクチンを接種したし安心といった様々な思いが交錯しています。
著者としては、自分や家族で緊急に医療サービスが必要でも、利用できない現状が起きた時に困るので、自粛を決め込むのは抵抗はありませんが、実質的な仕事が減り収入面がマズイことになっているのは困っています。
とはいえ、今はお金よりも命を優先するべきとは思いますので、効果がない宣言でも文句を言わず従いますが、行政にはこういった状況下だからこそ「相談」という形ではなく抜本的な行動を起こして欲しいものです。そうするだけでも多くの人は「今」は助かると思われます。