身長とペナルティと意思決定
パーソナルな問題となる話なので、身長でそういった思い込みを持つことは良くないのですが、自分の身長とそういった態度をとる自覚を知るヒントとしてこの記事をお楽しみください。
男性の身長は、社会的優位性、およびより敵対的/競争的な行動と積極的に関連しており、「ナポレオンコンプレックス」または「スモールマン症候群」と呼ばれる状態では、身長の不足と社会的支配を補うために、小さい男性がより積極的で懲罰的であることを示唆しています。
この研究では、実際の設定で身長と懲罰的な行動の間の可能な関係を評価したものになります。
研究は、
非実験的な相関設計を使用して、イングランドの4つのプロリーグからの61人の男性協会サッカー審判のデータを分析し、イエローカード、レッドカード、シーズン全体で与えられるペナルティの形で彼らの身長と懲罰的行動との関係を調査しました。
結果、
全体としてファウルに対する審判の身長の高さによる影響はありませんでした。
しかし、イエローカードによる警告には身長の高さの影響があり、審判の身長が低いほどイエローカードが多く出されました。レッドカードとペナルティについても同じ効果が見られましたが、これはリーグによって異なっていました。
下位リーグでは、比較的身長の低い審判から、より多くのレッドカードとペナルティが与えられましたが、上位リーグでは、比較的身長の高い審判からより多くのレッドカードとペナルティが与えられました。
McCarrick, D., Brewer, G., Lyons, M. et al. Referee height influences decision making in British football leagues. BMC Psychol 8, 4 (2020). https://doi.org/10.1186/s40359-020-0370-4
まとめ
この研究ではサッカーの審判を対象とし、身長の低い男性は下位リーグで厳正な態度をとり、身長の高い男性は上位リーグで厳正な態度をとる傾向が示唆されるものとなりました。
考察として、下位リーグ内にて選手からの挑発的な行為に対しても、身長の高さによって対応の仕方が異なり、身長が高いと寛容しやすく、身長が低いと立ち向かってしまいやすい傾向があるのかもしれない、ということと上位リーグのような注目の高い環境では、失敗が許されないため身長の高さによってジャッジに対する態度が変わってしまうのかもしれません。
身長の高さの平均は176cmとなっており、下位リーグでは-8cm、上位リーグでは+8cmとなっており、日本人で考えると平均身長が-5cmほどの環境で同じような結果が出るのかもしれません。