心理学的にみる虐めの原因
子供、大人になっても「いじめ」による被害は深刻であり、様々な対策法が講じられてきています。いじめの危険因子に関する多くの研究では、横断的デザインを使用しており、因果関係について結論を出す可能性を妨げており、複数の危険因子の同時影響については考慮していません。
いじめの複数の危険因子に注意を払うことは、子供や青年のいじめを防止または軽減するための介入プログラムを設計するための基礎を提供することができるため、行われた研究を紹介します。
いじめの危険因子について、
2004年と2007年に収集されたアンケートデータを使用して調査され、14〜15歳と17〜18歳が対象となってものでした。
ベースラインアンケートには2004年に3054人が回答し、2181人が参加しました。個人、および社会レベルでいじめられる危険因子を分析し、参加者の社会的背景に関する情報は、デンマーク統計局の国家登録から得たものとなります。
結果として、
いくつかの危険因子が特定されました。
・肥満であること
・クラス内で自己評価の低い立ち場
・過保護な親
・自尊心が低い
・感覚として、一貫性が低い
・社会経済的地位が低い
といったことが学校でいじめられる危険因子として特定されました。
また、職場内でいじめられるリスク要因として、
・太りすぎ
・喫煙している
・職場内で自己評価が低い
・一貫性がない、低い
・社会経済的地位が低い
といったことが挙げられました。
しかし、2004年のいじめと2007年のいじめとの間のほとんどの関連性は、2004年のいじめの調整後に消えました。
結論として、
いじめられる最も強い危険因子は、以前にいじめられていたことでした。研究者らの結果は、学校、職場でのいじめを早期に防止することの重要性を強調しているため、特に過保護な親の役割に注意を向ける必要があります。
Andersen, L.P., Labriola, M., Andersen, J.H. et al. Bullied at school, bullied at work: a prospective study. BMC Psychol 3, 35 (2015). https://doi.org/10.1186/s40359-015-0092-1
まとめ
イジメられる原因として、上述のようなものが挙げられましたが、学校内で最も高い原因としては過去にイジメられていた経験であったということでした。こういった経験のある人が大人になっても同様なのか?ということに尽きましては、イジメられて経験を糧に自分自身を強く変化させていればイジメられることと関係がない可能性もあるとのことです。
こういった原因について、やらないようにしよう、気を付けようということを行うよりは、「人格を認めること」を優先した方がいいとの見解もこの研究内で述べられていました。