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就業前の健康診断で、労働者の病気や怪我は予測できない?って研究結果

Monday, April 26, 2021

医療基礎知識



 就職前の健康診断が必要なのか?

職業によっては就職前健康診断が義務付けられており、その多くは就職後の疾病を予防するといった対処を目的としたり、職業上の安全確認の意味でも実施されているものです。

一般的に行われる健康診断では、疾病を発見することが難しいため、有意性としてはないものとして結論を出している研究論文もありますが、就業前に実施される健康診断でも同様なのか?という研究を紹介します。

研究は、

2つのRCT、7つのCBA研究、2つのITS研究を含めたもので、7820人の参加者を対象とした9件の研究が雇用前試験全体のスクリーニングプロセスを評価し、2164人の参加者を対象とした2件の研究がスクリーニングプロセス後のリスクを軽減する手段を評価しました。

スクリーニングプロセスを評価したこれらの研究のうち、1つのRCTに基づく質の低いエビデンスがあり、軽作業に従事する人の病気による休暇するリスクを軽減することが出来ない可能性があります。

軍隊の新兵については、12か月の追跡調査の後、職務の適合性にプラスの効果があるという1つのCBA研究に基づく非常に低い質の証拠があります。

偏見のリスクが高い1つのRCTと4つのCBA研究に基づいた一般的、または非雇用前検査と比較して、筋骨格損傷のリスクを検出する効果がある、ないといった一貫性のない証拠が見つかりました。

あるITS研究に基づくと、気管支チャレンジ試験を組み込むと、肺機能検査を伴う一般的な雇用前検査と比較して、職業性喘息が減少する可能性があるという非常に質の低い証拠があります。

さらに、就職前試験を行うことにより、新しく応募する人が減るかも?ということもあるようです。
6件の研究では、求職者の拒否率が平均して2→35%に増加しましたが、1つの研究ではそうでない結果もありました。

結論


軽作業の一般的な検査は病気休暇のリスクを減らさないかもしれないが、12ヶ月のフォローアップ後の軍隊の新兵の義務の適合性にプラスの効果があるかもしれないという非常に質の低い証拠があります。一般的な就業前試験または就業前試験なしと比較して、筋骨格系傷害のリスクに対する職業中心の雇用前試験の効果の一貫性のない証拠があります。気管支負荷試験を組み込むと、肺機能試験を伴う一般的な雇用前検査と比較して職業性喘息が減少する可能性があるという非常に質の低い証拠があります。雇用前試験では、7つの研究のうち6つで求職者の拒否が増加する可能性があります。雇用前検査の結果に基づくリスク軽減は、非常に質の低いエビデンスに基づいて、労働災害のリスク増加を減らすのに効果的です。この証拠は、雇用前の検査を職務固有の検査のみに制限するという現在の方針を支持しています。雇用前試験に合格しなかった従業員の健康と財政状況への影響を考慮すると、リスク軽減の利点の評価を含む、雇用前試験のより良い品質評価研究が必要です。

Schaafsma FG、Mahmud N、Reneman MF、Fassier JB、Jungbauer FHW。労働者の負傷、病気、病気休暇を防止するための雇用前検査。Cochrane Database of Systematic Reviews 2016、Issue1。アート。番号:CD008881。DOI:10.1002 / 14651858.CD008881.pub2。

まとめ 

就職前に実施される健康診断では、その後の病気や筋骨格系の損傷を検出する可能性がない場合が多く観察された研究結果となっています。利点のあった検査は、呼吸器を試験した内容では、喘息などを検出したり、軍隊に入隊する前の検査でも有利に働く可能性はあるとのことです。

よって、一般職でこれらの試験の適正を判断したりすることは、その後の疾病を発見するといったスクリーニングに役に立つか?ということには疑問がありそうです。そういった研究結果から、企業側が負担し、これらの検査を行うことは目的としてズレているのかもしれませんが、パフォーマンスの一環なのではないかとも考えられます。

企業の管理する側としては、これらのスクリーニングによって問題なしとなっても、その後の病気などのリスクを予知できるわけではないため、従業員の体調管理は別途努力が必要であるということも知れる研究結果となりました。

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