健康食の販売促進
食品の栄養表示は、健康的な選択を増やす可能性を感じるものですが、その有効性は表示の種類、対象となる食品のカテゴリ、設定によって異なることが考えられ、実際ではどのような影響が起こるのか?ということについては推測でしかないこともあります。この研究の目的は、実際のスーパーマーケット内で実施された無糖、低糖、中糖、高糖の飲料の販売に対する、業界が設計した既製の砂糖ラベルの有効性を評価することになります。
2019年の第17週に、
棚にある砂糖のラベル変更が、オランダのスーパーマーケットチェーンによって実装されました。
ノンアルコール飲料は、信号機のラベリングシステムを使用して分類され、
・無糖(<1.25 g / 250 ml)は「緑」
・低糖(1.25〜6.24 g / 250 ml)は「青」
・中糖(6.25〜13.5 g / 250 ml)は「黄色」
・高糖(> 13.5 g / 250 ml)は「琥珀色」
分析には、実装前13週間と実装後21週間のランダムに選択された41のスーパーマーケットからの飲料の売上と収益に関する店舗レベルのデータを使用しました。合計で30店舗が17週目までにラベルを実装し、11店舗は比較対象とされました。
結果の測定値は、4つのラベルカテゴリで販売された飲料の数と、比較ストアと比較した実装ストアでの飲料販売からの総収益の違いで測定し、分析は複数グループの中断時系列アプローチを使用して実施されました。個々の店舗データの結果は、変量効果メタ分析を使用して結合されました。
結果として、
介入期間の終わりに、各ラベルの飲料の売上高の変化は、介入ストアと比較ストアの間で有意差はありませんでした。介入期間終了時の飲料の総収入の変化も、介入店と比較店の間で有意差はありませんでした。
Hoenink, J.C., Stuber, J.M., Lakerveld, J. et al. The effect of on-shelf sugar labeling on beverage sales in the supermarket: a comparative interrupted time series analysis of a natural experiment. Int J Behav Nutr Phys Act 18, 49 (2021). https://doi.org/10.1186/s12966-021-01114-x
まとめ
結果として、"有意に"変化が起こるようなものとはならなかったのですが、分析の方法によってはラベリングの色分けによって、糖類が多く含まれる飲料の売り上げが減少しているデータもありましたが、限定された結論となるようです。
研究では、栄養表示などが適切にされていたとしても消費者は"見ていない"ので、より視認性の高い表示法を検討したり、商品に記載されるコピーなどにも工夫がいるのではないかと検討されていました。
食品を購入する際に何を見て購入するのかは人によってそれぞれですが、この結果から多くの人は見た目や値段で購入を決定しているのではないのかと推測できます。健康意識が高い人らが成分表を見るぐらいで、多くの人はその部分に関心もないのかもしれません。
表示の中には糖類と炭水化物が別物として記載されていたり、(炭水化物と糖類は中身が異なるためこういったことがあるようです)摂取カロリーよりも炭水化物の量が多かったりと、栄養表示を見ているとウンザリすることも多くなってきます。
手軽に食べられるものの栄養表示を見てみてください、どれだけ糖類を摂り過ぎているのかを知ることが出来ます。