日本で処方されている湿布の費用
日本の医療機関では毎日多くの湿布が処方されていますが、費用の国民的負担とその処方に関する詳細について詳しく知らない人が殆どなのかと思われます。日本で規定されている湿布の年間医薬品費用の全国負担を調査し、全国の健康保険請求データを使用してこの費用の予測因子を推定した研究となります。
研究は、
「NDBオープンデータジャパン」の第2版から入手した要約表ファイルから湿布製品の記録を抽出し、患者の5歳の年齢層、性別、県ごとの湿布の年間医薬品コストを計算し、各都道府県を個別の単位として扱う生態学的研究と、居住者あたりの湿湿布の年齢標準化コストを従属変数として使用する複数の線形回帰分析を実施したものの結果となります。
結果として、
2015年度に日本で処方された湿布の年間医薬品コストは1,490億円となり、複数の線形回帰分析により、研修医10万人あたりの整形外科医とリハビリテーション医の数は、研修医1人あたりの湿湿布の年間薬剤費と有意に正の相関があることが示されました。
このことから、10万人あたりの整形外科医とリハビリテーション医の数によって、これらの試算が出来ることが予測因子として挙げられました。
Itoh, H., Saito, T., Nojiri, S. et al. National burden of the pharmaceutical cost of wet compresses and its cost predictors: nationwide cross-sectional study in Japan. Health Econ Rev 9, 20 (2019). https://doi.org/10.1186/s13561-019-0238-6
まとめ
高齢化社会だから当然の結果ではないのか、と思われた方もいると思いますが、その通りです。しかし、仮説としてですが19歳以下のスポーツ競技者などを中心とした男の子らを中心にこれらの処方は行われているため、湿布の処方は高齢者のみだけではないということだそうです。
現状では処方の数に限度を設けているようですが、近年では患者1人あたりに908回の湿布を処方していた問題もありました。よって、昨今ではリハビリテーションに力を入れている医療機関も増えてきているといった背景もあるようですが、たかが湿布、されど湿布といったところです。