看護師の幸福度
看護師という国家資格を持ち働いている人は、医療制度において重要な役割を果たしています。看護師らの幸せを高めるための基本的なステップの1つとして、仕事の満足度や仕事の質などの要素を認識することからです。この研究では、看護職員の幸福と労働生活の質および仕事の満足度との関係を調べることが目的となっています。
この記述的研究では、
イランの救急科で働いていた270人の病院看護師を対象に実施されたものとなり、看護師は国勢調査法によって募集されました。データ収集手段には、Oxford Happiness Inventory(OHI)、Quality of Work Life Questionnaire(QWL)、およびJob Satisfaction Questionnaire(JSQ)が含まれており、データは、記述統計とステップワイズ多重線形回帰分析を使用して調査されました。
結果として、
参加者の平均年齢は30.1±6.26歳
・幸福スコアは38.5±16.22
・労働生活の質スコアは84.3±17.62
・職務満足スコアは45.5±13.57
となる結果で、中程度のレベルの属性に対応しています。
通常の最小二乗(OLS)回帰から得られた結果は、幸福が経済的地位と閉鎖の満足度に有意に関連していることを示していました。
この調査結果から救急科で働く看護師の幸福度は低いことがわかりました。幸福度の低い要因として、経済的地位の満足度が低く、職務に対する閉鎖的な義務が関係していることがわかりました。
Javanmardnejad, S., Bandari, R., Heravi-Karimooi, M. et al. Happiness, quality of working life, and job satisfaction among nurses working in emergency departments in Iran. Health Qual Life Outcomes 19, 112 (2021). https://doi.org/10.1186/s12955-021-01755-3
まとめ
この研究で対象となった部門で働く看護師の幸福度が低いことがわかったという結果になりましたが、多くの看護師が当てはまってもいいのではないのか?とも思う結果となりました。
幸福度の低い要因としては、給料と仕事の満足度、というものになりますが、給料に関しては仕事量や責任に見合わない金額、仕事の満足度はタスクに対する達成感が得られない、といったことが説明されている研究となります。
看護師の幸福度が低いと質の低い医療サービスの元にもなることが考えられるので、イランではこの実態に対して危機感を持っていることが記載されていましたが、日本の看護師はどうなのでしょうね。
私の持っている資格柄、働いている場所で医療関係の人に出会うことが多いので、体験談的な話を聞いている限りは満足していない部分を多く聞きます。仕事なので完全に満足して働いている人は少ないとも思いますし、本当に満足して働いている人らは自分のやっている内容に対して達成感や報酬などに満足している状況があるのかと思われます。
医療はサービス業でもありますが、サービスに対して払われる料金というものはありませんので、それらに対して金銭が発生するようになったらどう変わるのかも気になります。とはいえ、医療を生業とするものは・・・・といった考えで一蹴されてしまいそうですね。