働き方と月経問題
女性の月経の問題は、日常生活や仕事に大きな影響を与えますが、人口減少より日本政府はより多くの女性が労働力に参加することを奨励しています。ただし、この目的は努力目標でしかなく、実際は問題だらけで女性参加による成功例は限られたものとなっています。
具体的には、女性の労働力への参加は労働条件だけでなく、伝統的な家族の状況も含む健康に影響し、子育てをしながら働く女性の健康状態について、さらに評価し、より多くの情報を収集することが重要と考えられています。その1つの指標として、月経の状態によって女性の健康を表すことができると考えられています。
参加者は、
均一な教育レベルを提供する大学の卒業生から募集され、505名が最終的なサンプルとして採用され、23〜43歳、少なくとも1年間同じ職務で、シフトワーカーではなく、母親の地位も、関連情報もありません。
参加者は、作業の終了から毎日の作業の再開までの11時間をベンチマークとして、間隔時間に従って2つのグループに分けられました。
健康上の結果には、月経周期、月経困難症の症状、健康に関する不安、および健康に関する満足度が含まれ、複数のロジスティック回帰分析を実施して、心理社会的要因と生物学的要因の両方を含む交絡変数を調整することにより、間隔時間に関連する健康指標のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定し結論付けたものとなります。
結果として、
11時間/日の十分なインターバル時間がある場合と、ない場合の女性の健康状態を比較しました。インターバル時間が短い労働者は、健康に対する不安や健康への不満の有病率が有意に高く、月経状態については、長間隔群よりも短間隔群の方が異常な月経周期のみが認められた。
ただし、この関連付けは、生物学的交絡因子が多変数回帰モデルで調整されたときに消え、月経困難症の症状は、短い間隔時間との統計的に有意な関連を示しません。
結論として、女性の健康面は長い労働時間と、労働終了から次の開始までの時間が短かったり、昼、夜勤などのバランスが崩れやすい環境に従事することで今後の健康面が害され、労働に対する不満や不安を増大させる恐れがあることがわかりました。
こういった影響は社会的因子よりも生物学的な因子により影響されやすいことが示唆されています。
Nishikitani, M., Nakao, M., Tsurugano, S. et al. Relationship between menstruation status and work conditions in Japan. BioPsychoSocial Med 11, 26 (2017). https://doi.org/10.1186/s13030-017-0112-x
まとめ
この研究からは、労働の環境によって生物学的なリズムが乱れることが、女性の健康面を損なう可能性を示唆しており、そういった環境によって起こる心理的な不安や不満を増大させることを示すものとなっていました。
論文内にもありましたが、サンプルとなった女性らが日本を代表する働き方なのか?と問われると疑問でもあります。サンプルになった人の条件として、平均的な水準の学力を保有している大学生を対象としており、一般的に収入が高く、労働条件の良い環境なのでは?とも考えられることから、この結果を一般化するには他の条件も考慮しなければならないことはあります。
職業にもよりますが、9時に就業開始し18時に終了する環境がどれぐらいあるのか?というと割とありそうで無かったりもします。特にサービス業などに従事するとなると、10~20時とか割とありますし、通勤時間を考慮してもインターバルが11時間以上ある環境は少ないのでは?とも思います。
時間=給料で縛られている限り無くなりそうもない問題なので、自分らしく働くことを目指す人が増えていくのかもしれません。