他人の許しと幸福
「許し」は、心理学への関心の高まりと公衆衛生との潜在的な関連性の概念とされます。他人の許しと心理社会的幸福および精神的健康の結果の範囲との間に正の関連性を示唆する証拠が増えている一方で、健康行動、身体的健康との関連性はあまり明確ではないため、調査された研究を紹介します。
この研究では、
看護師の健康調査IIの縦断的データを使用し、米国の女性看護師のコホート（年齢範囲：43〜64歳）の間で結果全体の分析を実施しました。この研究では、精神的に動機付けられた他者の許しと、その後の心理社会的幸福、精神的健康、健康行動、中年期の身体的健康の結果との関連を前向きに調べています。
線形、ロジスティック、およびポアソン回帰モデルのセットを使用して、個別のモデルで許しに関する各結果を回帰しました。社会人口統計学的要因、以前の宗教的奉仕への出席、およびすべての結果変数の以前の値は、データが利用可能な場所で管理されていました。多重検定を説明するために、ボンフェローニ補正を実行しました。
結果として、
許しは、その後の心理社会的幸福の改善と、単調なパターンでの心理的苦痛の結果の減少と関連していました。たとえば、許しのトップレベルとボトムレベルは、その後のポジティブな影響のレベルが大幅に高くなり、社会的統合と関連していました。
そして、抑うつ症状などのその後の心理的苦痛のいくつかの指標と逆に関連していた。ただし、このサンプルでは、許しが健康行動または身体的健康の結果に関連しているという証拠はほとんどありませんでした。
Long, K.N.G., Worthington, E.L., VanderWeele, T.J. et al. Forgiveness of others and subsequent health and well-being in mid-life: a longitudinal study on female nurses. BMC Psychol 8, 104 (2020). https://doi.org/10.1186/s40359-020-00470-w
まとめ
この研究によれば、以前から言われていた「許し」をもらうことで心理的な幸福を得られることに加え、食事の質が改善されることが報告された結果となりました。食事に関すること以外の身体的転帰については関連性などが報告されていませんでしたので、許しを得られることは精神的な健康に良い影響があるようです。
この研究を見て思ったのは、宗教などにより許しを神父に乞う人が絶えず、許しを得た後に幸せそうにしているシーンなどを映画で見たことを思い出し、凄く納得できた研究結果だと思いました。
日本では、誰かに許しを乞う時は、一般的に大きな迷惑を掛けた時などが殆どで、迷惑を掛けないように生きようとすることが多いので、病みやすいのかな？とも思いました。
私自身が信じる宗教がないので、実態はわかっていませんが怪しい新興宗教にハマる人はこういったことも要因となっているのかは気になるトコロです。
