糖質制限ダイエットとメンタルヘルス
個人の主要栄養素はメンタルヘルスに関連して研究されましたが、低炭水化物ダイエットの順守と精神障害との関連についての情報はありません。この研究は、イランの成人における低炭水化物ダイエットの順守と精神障害の有病率との関連を調査するために実施されました。
研究は、
3362人の成人男性と女性を対象とした横断的研究で、検証済みの半定量的食物摂取頻度質問票を使用して食事摂取量を調べました。
低炭水化物ダイエット(LCD)スコアは、主要栄養素からのエネルギーのパーセンテージの十分位数に基づいて、各参加者について計算され、各参加者の炭水化物、タンパク質、脂肪の摂取量のスコアを合計して、3(炭水化物の摂取量が最も多く脂肪とタンパク質の摂取量が最も少ない)から30(炭水化物の摂取量が最も少なく脂肪とタンパク質の摂取量が最も多い)の範囲の全体的なLCDスコアを達成しました。
不安、うつ病、心理的苦痛は、検証済みのイラン版の病院不安抑うつ尺度および一般健康アンケート-12によって評価されました。
結果として、
うつ病、不安、心理的苦痛の有病率は、それぞれ28.0、13.3、22.6%でした。LCDスコアの異なる四分位数にわたるうつ病、不安、心理的苦痛の分布に有意差は観察されませんでした。
潜在的な交絡因子を制御した後、LCDスコアとうつ病の有病率の間に有意な関連は見られませんでした。
Ebrahimpour-Koujan, S., Keshteli, A.H., Afshar, H. et al. Adherence to low carbohydrate diet and prevalence of psychological disorders in adults. Nutr J 18, 87 (2019). https://doi.org/10.1186/s12937-019-0513-8
まとめ
この研究では、低糖質、糖質制限ダイエットを実施している人のメンタルを調査し、それらの有病率との関連性がないことが示された研究結果となっていました。何故、このような調査が行われたのかと言いますと、特定の脂質とタンパク質の摂取、低糖質による低血糖状態が起きると精神障害が起きやすくなるといったことが示された研究があったためでした。
しかし、この研究の結論によりそれらの関連性は一度は因果関係がないようにも思えますが、心理的影響を調査するための追加研究は必要とのことです。
付属した内容としては、精神障害の傾向ある参加者の食事は、食物繊維、EPAとDHA、ビタミンB6、マグネシウム、果物、野菜、低脂肪乳製品の摂取量が少なく精製穀物の摂取量が多いということが分かったという内容もあります。
糖質制限自体は、他のダイエット法より優れているといったエビデンスはありませんが、精製穀物を摂取し過ぎた結果、炭水化物を必要以上に摂取していたりもします。
日本人の1日の炭水化物摂取量は320gとも発表されていますので、この機会に1日の摂取量を見直してみてください。