KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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誰もがもっている楽観的なバイアス

Sunday, April 11, 2021

心理学



楽観的なバイアスと鬱病

人は楽観バイアスを持っている傾向があり、望ましくない情報よりも望ましい情報を好み、閲覧します。しかし、鬱病と診断された人は多くの場合、将来についてより悲観的な見方をしています。
最近の研究によれば、不快気分のある人の将来への期待は、将来について楽観的な将来の予測をするように求められたときに、より楽観的になることを示唆しています。本研究では、さまざまなレベルの不快気分(低、軽度、高)の正常な参加者の将来の信念を変えるために楽観的な将来の予測を行う、誘発された楽観的トレーニングの異なる効果を調査しました。

一般的な参加者を募集し、

n = 69)地元の大学生から、不快気分を測定することにより参加者を3つのグループ(低、軽度、高不快)に分けました。
これらの3つのグループは、誘発された楽観的なトレーニングまたはコントロール条件に割り当てられ、トレーニング後、参加者は2段階の信念更新タスクを実行しました。

最初の段階では、参加者は有害事象を経験する個人的な確率を推定し、同時に、生きている人に発生する事象の平均確率を提示しました。この情報は、参加者にとって望ましい、望ましくない可能性があります。望ましい情報と望ましくない情報がどのように信念に影響を与えたかを評価するために、参加者は、第2段階でイベントを再び経験する個人的な確率を推定しました。
更新エラーの量は、第1段階と第2段階の推定値の差として計算され、エラー間の違いは、更新バイアスとして分類されました。

結果として、

誘発された楽観的なトレーニングの後、軽度の不快感を持つ個人は、誘発された楽観的な状態で、低い(p  <.001)および高い不快気分(p  <.05)グループよりも高い更新バイアスを示しました
対照群では有意差は見られません。

結果は、軽度の不快気分グループの個人が、誘発された楽観主義トレーニングにさらされた後、更新バイアスの増加を示したことを示しています。不快気分と特性の楽観主義は、実験グループと対照グループの両方で変化しませんでした。

結論として、軽度の不快感を持つ人は、楽観的な思考を誘発されることによって影響があるという結果になりました。


Yoshimura, S., Hashimoto, Y. The effect of induced optimism on the optimistic update bias. BMC Psychol 8, 28 (2020). https://doi.org/10.1186/s40359-020-0389-6


まとめ 

研究からは軽度の不快感を持つ人は、楽観的な思考を誘発されることに影響され楽観視できるようになるが、中~高度の不快感、鬱病を持つ人には影響が見られないという結果になりました。

この研究結果を見て想像したのは、テスト前の学生が友人から「テスト範囲がわかった、ここからここまでが範囲で凄く簡単になったみたいだよ」といった不確定な情報に、勉強に対する対策が不足して痛い目を見るってことです。

人は将来起きる望ましくない情報に対しては過小評価し、望ましい情報には過大評価をするといった楽観的なバイアスを誰しもが持っています。

この記事を見ている皆さんで、タバコを吸い続けていたら10年後病気になり困ることになる、と言われてどのように反応するかで、楽観的なバイアスが強く働いているのかどうかが判断つくと思われます。

多くの人は、今すぐ体が悪くなるわけでないから、体が悪くなってきたときに止めればいいや、と思われるかもしれません。しかし、鬱症状などの過敏な方は、そんな不安になることを言われたからすぐに止める、といった行動に出て、外出したときなどの副流煙にも過剰反応するかもしれません。


誰しもが持っているバイアスなので、心理的な幸福を維持するためには上手く使いたいものですが、意思決定する時に邪魔に成り兼ねないバイアスでもあるため、知っているのと知らないのとでは大違いです。

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