太り過ぎと難聴
研究による得られた新たな証拠により、太り過ぎが難聴の潜在的な危険因子であることが示されました。しかし、この理論は決定的なものではないため、ボディマス指数(BMI)または胴囲(WC)と難聴との関連に関する公開された観察研究を体系的かつ定量的にレビューすることを目的とした研究を行っていました。
横断研究のメタアナリシスでは、
一般的な聴力損失のORは1.10、低体重1.14、過体重1.40でした。
肥満の場合、BMIが5 kg / m 2増加するごとに1.14、WCが高い場合は1.22となります。
縦断的研究のメタアナリシスでは、RRは低体重で0.96、過体重で1.15、肥満で1.38となります。
この結果から、結論としてBMI値の上昇と胴囲の増大が難聴と正の関係性があることが示されました。
Yang, JR., Hidayat, K., Chen, CL. et al. Body mass index, waist circumference, and risk of hearing loss: a meta-analysis and systematic review of observational study. Environ Health Prev Med 25, 25 (2020). https://doi.org/10.1186/s12199-020-00862-9
まとめ
太り過ぎと難聴の関係性が示されたメタアナリシスとなりました。要因として精製穀物、砂糖、トランス脂肪酸などの積極的な摂取や偏った食環境などにより難聴のリスクが増大するとありましたが、生理学的な解明はまだ終わっていないようです。
1説として、過剰になった脂肪組織による内分泌器官による影響で、蝸牛が損傷され難聴となることが説明されていますが、動物実験などによる結果なため確証とまでは言えません。
また、心血管疾患による併発症という可能性も除外できないため、太り過ぎ=難聴というよりは、太り過ぎな人と難聴の人を調査したら正の関係性があったため、太り過ぎていることが難聴の因子として考えられるということだそうです。
食事に関しては、上述のような内容よりも食物繊維が多く含まれた食生活になると、難聴と負の関係性となることから、難聴に気を付けたい人はこういった点を意識しても良いのかもしれません。
また、難聴は音量過多によるものからくることもありますが、メタアナリシスによる結論なため、この相関性は正しいのかと思われます。