KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

sponsorlink

大学生の約3%が当てはまる?買いだめ行動と発達障害の関係性について

Sunday, April 4, 2021

精神科

 

買いだめと発達障害

研究によれば、買いだめ行動は青年期初期に無症状レベルで始まり、徐々に悪化することが示されています。しかし、限られた数の研究では、若年成人における買いだめ行動の有病率と発達障害との関連を調査していました。紹介する研究の目的は、買いだめ行動の有病率を推定し、大学生の買いだめ行動と発達障害の特徴との相関関係を特定することになります。

調査参加者には、

アンケートに回答した801人の大学生(男性616人、女性185人)が含まれていました。

評価するために使用したのは、ASRS:成人ADHD自己報告尺度バージョン1.1、AQ16:16項目の自閉症スペクトラム指数、CIR:クラッター画像評価となります。


結果として、

801人の参加者のうち、27人(3.4%)がCIRカットオフスコアを超えました。さらに、買いだめ行動のある参加者は、買いだめ行動のない参加者と比較して、ADHD特性の割合が有意に高いことがわかりました。さらに、HB(-)参加者の4.1%と比較して、HB(+)参加者の7.4%は自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴を持っていました。

相関分析により、CIR複合スコアは多動性/衝動性スコアよりもASRS不注意スコアと強い相関関係があることが明らかになりました

結論として、

買いだめ行動の大学生におけるADHD特性の高い有病率が示されました。さらに、買いだめ行動が多動性/衝動性症状よりも不注意症状とより強く相関していることがわかり、この結果は、若年成人の買いだめ行動とADHDの背後にある一般的な病態生理学の概念をサポートすることになります。


Kajitani, K., Tsuchimoto, R., Nagano, J. et al. Relevance of hoarding behavior and the traits of developmental disorders among university students: a self-reported assessment study. BioPsychoSocial Med 13, 13 (2019). https://doi.org/10.1186/s13030-019-0156-1


まとめ 

この研究でいう買いだめ行動は、不要なものを溜め込んだり、必要であっても不要な数を買い溜めることを指し、ゴミ屋敷もそのうちの1つとして考えることが出来るものです。

ADHD傾向が高いと買い溜め行動をとりやすい、という結果のもとからその逆を辿って診断を下すことも可能なのかもしれません。多くの研究では性差がないとされていましたが、本研究では男性の方がこの行動をとりやすいということもわかっています。また、こういった行動はADHDだけでなく、他の精神障害の症状としても考えられるため、買いだめ行動が起きている際は、依存性の高さも踏まえて適切な"治療介入"が必要であるようです。

幼少期は本人の手持ち金がないので、こういった兆候を確認することは難しいようですが、本研究でも対象になった大学生になると自分で使える資金を確保しやすくなることから、こういった行動をとる人も出てくるのだとか。

この研究で得られている結果は、1つの大学のサンプルで得られたものなので、性差や有病率は異なってくるようですが、買い溜め行動とADHDの関連性はありますので疑われる際は専門科に受診を。

QooQ