糖尿病患者の腰痛管理
段階的な活動は、腰痛(LBP)の人において、痛みの自己効力感、不安回避の信念、腰痛の信念を含む心理社会的結果を改善するための好ましい選択肢として選択されることが増えてきています。しかし、このような心理社会的結果はLBPと2型糖尿病(T2DM)を併発している患者の間では証拠に欠けています。
ランダム化比較試験による二次分析では、障害、痛みの自己効力感(PSE)、不安回避の信念(FAB)、腰痛について、追加の毎日監視される歩行で増強された段階的活動と段階的活動のみの有効性を比較することを目的としました。
研究は、
LBPと2型糖尿病を併発している58人の患者を2つのグループにランダム化し、12週間の単一盲検試験で毎日監視され、歩行グループ、段階的活動グループにて活動を段階的に評価しました。
結果として、
参加者の平均年齢は48.3±9.4歳で、35.3%は男性でした。GAMWG参加者(n = 25)は 、PSE、FABで GAG参加者(n = 26 )よりも良い結果(P <0.05)を示しました。他のグループ間の比較は統計的に有意ではありませんでした。
結論として、段階的に行われる活動、運動において、腰痛と2型糖尿病を持つ患者は、腰痛による障害、自己効力感、不安回避、血糖値コントロールなどにおいては有用であることがわかりましたが、腰痛に対する考え方については変化がない結果となっていました。
Idowu, O.A., Adeniyi, A.F., Edo, A. et al. Graded activity with and without daily-monitored-walking in patients with type 2 diabetes with low back pain: secondary analysis of a randomized-clinical trial. Arch Physiother 11, 10 (2021). https://doi.org/10.1186/s40945-021-00104-3
まとめ
この研究は、最大12週間でそれぞれの項目について変化が出ているため、実践するなれば3ヶ月は段階的運動プログラムを監視しながら継続する必要があるということでした。
このプログラムによって、2型糖尿病を患っていない人の結果に近い変化が出てくることは確認されていますが、自分の腰や背中に対する信頼、腰痛に対する考え方といった心理的側面には変化が無かったということになったそうです。この研究を再現するためには、段階的運動プログラムを監視しながら遵守してもらう、ということにありますが、研究でも他の運動プログラムによる恩恵の可能性を除外出来ていないことから、段階的運動プログラムが優れていると断定するには変数が多少はあります。
しかし、リハビリテーションにおいて血糖値の変容など有用な面もありましたので、段階的運動プログラムを完全に否定する理由はないと考えられます。