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閉経後の女性が大豆タンパク質を1年間摂取しても骨密度に変化がない、研究結果より

Monday, April 26, 2021

婦人科



 大豆たんぱく質と骨粗鬆症

大豆タンパク質は、閉経周辺期、閉経後の女性の骨粗鬆症のリスクを軽減することが報告されていますが、これらの研究のほとんどは短期間によるものであるため、この研究の目的は、大豆を含む食品(25gのタンパク質と60mgのイソフラボンを提供)の1年間の摂取が閉経後の女性の骨に有益な効果を及ぼすかどうかを調べることでした。


研究は、

87人の適格な閉経後の女性がランダムに割り当てられ、1年間毎日大豆を摂取するといった管理をしました。全身、腰椎(L1-L4)、人工股関節全置換術の骨塩密度(BMD)と骨塩量(BMC)を、ベースライン時と1年後に二重エネルギーX線吸収測定法を使用して測定し、骨代謝の血液、尿マーカーも評価されました。


結果として、

62人の被験者が1年間の研究を完了し、全身、腰部のBMDおよびBMCは、大豆群と対照群の両方で有意に減少しました。ただし、治療に関係なく人工股関節全置換術とBMCに有意な変化はありませんでした。

どちらのタンパク質サプリメントも、骨吸収のマーカーである尿中デオキシピリジノリン排泄に影響を与えませんでした。


Arjmandi, B.H., Lucas, E.A., Khalil, D.A. et al. One year soy protein supplementation has positive effects on bone formation markers but not bone density in postmenopausal women. Nutr J 4, 8 (2005). https://doi.org/10.1186/1475-2891-4-8


まとめ 

この研究では、1年間で毎日25gの大豆たんぱく質を摂取し続けても、股関節部の骨量などに変化が無かったという結果が述べられています。

別の研究では、食事の中で摂取できるタンパク質により骨量に増加がみられたものもあれば、高たんぱく食は骨量減少を示すマーカーである尿中のカルシウムが増加するといった反する結果もあります。

この2つの研究については、骨の破壊により尿中にカルシウムが流出したのではなく、腸内吸収が増強されたものであると説明されてはいます。

しかし、この研究では大豆イソフラボンを摂取させても骨量などに変化が無かったということでしたが、同じような参加者を対象とした別の研究では増加傾向にあった結果もありました。これは、摂取する量というよりは、女性の体重に関係しているのではないか?という参加者の違いにより説明されていました。

そして、これらを摂取すると性ホルモンなどに影響があることも知られていることですが、直接的なホルモンレベルに変化はありませんが、循環エストロゲンを増加させるSHBG濃度の低下は確認されていました。


よって、この結果を踏まえれば「大豆イソフラボン」が欠損された性ホルモンを補ったりすることを期待するには時期尚早であるため、骨粗鬆症の原因次第では適切な治療を受けた方が良いよいにも思えます。

自己判断で、大豆イソフラボンを積極的に摂取しているから、といってもこの研究のようにあまり影響がない場合もあります。

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