今回は相性の悪い夫婦の心理学について
人は婚姻生活において、満足度の高い夫婦と満足度の低い夫婦とあります。
双方が満足するか、片方だけが満足するのか?といったことや、双方に不満があり破綻するのか?ということは何らかの原因があるはずです。
満足度の高い夫婦と低い夫婦の何が違うのか?ということについて、性格特性でそれを調査した研究を紹介します。
研究の内容
性格特性と夫婦関係は、夫婦生活の状況を含むさまざま状況での個人の行動を予測するために活用することができます。
夫婦の満足度はさまざまな要因によって影響を受け、カップルの関係の質も満足度によって評価することが出来ます。
研究の目的は、性格特性と夫婦の満足度との相関に関するイランの研究をレビューしたものとなります。
計4,049人の参加者を対象にした18つの研究をレビューしています。
夫婦の満足度と性格特性の間には、次の相関係数が見つかりました
・神経症的傾向の性格をもつ人同士の関係 r = − 0.439
・外向性の高い性格をもつ人同士の関係 r = 0.833
・開放性の高い性格をもつ人同士の関係 r =0.777
・誠実性の高い性格をもつ人同士の関係 r = 0.90
このことから、神経症的傾向の高いカップルは、夫婦の満足度が低く、誠実性の高い性格のカップルは、夫婦生活により満足しているということが示唆されいます。
考察
性格には5つの側面があり、心理学に関心がある人にとっては有名な話でもあります。
・神経症的性格
・外向性
・開放性
・協調性
・誠実性
といった性格です。
神経症的性格は、不安、敵意、衝動性、うつ病、自尊心の低下などの感情を抱きやすい傾向を指しています。
外向性の性格は、前向きで、断定的で、社交的である可能性が高くなります。
開放性の性格は、好奇心、愛情のこもった芸術、知恵などの特徴に関連しています。
協調性の性格は、優しさ、寛大さ、共感、利他主義などの特性に関連しています。
誠実性の性格は、信頼でき、自己規律があり、目標達成を示す傾向があります。
これらの性格特性は人其々で高い低いが異なっており、極端に高すぎる特性があると、目立つ特性であるとも考えることが出来ます。
上述の特徴を見ていただくと、神経症的傾向が高すぎる組み合わせは確かに満足度が下がりそうにも思えます。
不安や敵意、衝動性や鬱傾向、自尊心などに関することは、自己評価の低さも関係してくるため、神経症的傾向の高いカップルでいてしまっている人で、簡単に離れることが出来ない場合は対策が必要となってきます。
対策方法は種類がありますが、主に行動を改めるような方法が主流になってきています。
夫婦で問題のある行動を互いに認知し、話し合い、何が不足していて、何をすれば改善傾向に向かうのかを互いに譲歩しながら話し合います。
それらが完全に解決するには、時間が必要となりますので、即効性のある関係修復を望む人は別の解決策を講じなければなりません。
ビッグファイブテスト、というものをネット上で探せば出てくるのものがありますので、気になる人は面白がてらにやってみても良いのかもしれません。
その結果から神経症的傾向が互いに高く、関係の満足度が低い場合は、そういった状況が原因であると認知し、対策すれば良いと思われます。
決して、互いの人格を否定せずに行動に問題があることを認知するだけで良いです。
まとめ
満足度の低い組み合わせは神経症的傾向が高いカップル、という結果でした。
気になっている人や既にカップルがいる人で、関係の満足度が低い場合はその原因は性格特性かもしれません。
性格自体を直ぐに変える、ということは無理な話ですので、問題のある行動を変更することから始めてみることが関係の満足度を変更するヒントになるのかもしれません。
Sayehmiri K, Kareem KI, Abdi K, Dalvand S, Gheshlagh RG. The relationship between personality traits and marital satisfaction: a systematic review and meta-analysis. BMC Psychol. 2020;8(1):15. Published 2020 Feb 7. doi:10.1186/s40359-020-0383-z