今回は口呼吸と姿勢について
自分の子供が口で呼吸をしているのかどうか注目したことがありますか?
本来では、呼吸器の中に「口腔」は含まれないため、鼻に何らかの障害が起こっているのか、他の原因があるのかで口呼吸をしてしまっていることがあります。
何らかの障害の中に、呼吸をするための気道の狭小化が考えられており、その中に不良姿勢が原因でないのか?と考えられていることもあります。
これは珍しくはない考え方だそうで、ネット検索するだけでも不良姿勢について記述されている記事は見つかります。
紹介する研究では、姿勢と口呼吸に関連性はあるのか?ということを調査しているものです。
研究の内容
口呼吸症候群は、子供たちの日常生活上のパフォーマンスを損なう可能性があり、睡眠障害や頭部、頚部に関連する姿勢異常を引き起こしかねません。
とは言われていますが、姿勢異常と子供の口呼吸との関連するという確たる証拠は不明なものです。
この研究の目的は、関連する研究の方法論の質を評価し、子供の口呼吸と姿勢障害の間に関連があるかどうかを判断することにあります。
10件の研究が対象となり、参加者には5~14歳までの合計417人の子供が含まれていました。
2つの研究ではニューヨーク州の姿勢評価尺度を使用し、7つの研究では写真を使用し姿勢を評価し、1つの研究ではモーションキャプチャを使用して姿勢を評価しました。
研究の品質を評価した結果、すべての研究でスコアが低くなりました。
質が低いと判断された点は、参加者、姿勢にアクセスするために使用される方法、主要な交絡因子、および検出力分析の欠如の明確な説明でした。
結論として、これらの研究からは、5〜14歳の子供の口呼吸症候群と姿勢不良の関連性については、質の低い証拠であることがわかりました。
考察
理論的に、姿勢不良と口呼吸症候群の説明は正当性のあるものと言えます。
今回の研究で問題として挙がっているのは、姿勢の評価の仕方の方です。
スコアシートに書かれているものについては、そこから追及するのは難しいため、測定時に"正確な"評価が必要とされてきます。
このことについては、測定する検者の技量が重要となってくるため、定量化された訓練で解決しそうにも思えます。
次に写真についてですが、写真撮影などの時に設定される条件によって姿勢などのバラツキは簡単に起こるため、本来であれば写真撮影こそ練習が必要となるものはないと思われます。
十分な訓練がなされていないと、写真を撮る時のランドマークがズレて適切に評価することが出来なかったり、ランドマークの設定自体があやふやになることも考えられます。
最近では、姿勢評価をするソフトウェアによって、人の目よりもバラツキが少ない評価が出来るようになっているようですが、これらもソフトによる誤差や写真のデータを使うことから、撮影の技術が必要となってきます。
結局は人が操作し、評価するために、姿勢評価することに対して、どれだけ訓練しているのか?ということで姿勢不良の結果は簡単にバラツキが起きます。
まとめ
まともな姿勢評価を受けたければ、ソフトウェアなどで写真撮影したものを分析するツールを使用した方が良さそうなものです。
評価者によって姿勢の結果なんて簡単に変わるものなので、見ただけで姿勢云々言われても真に受ける必要はなさそうです。
Neiva PD, Kirkwood RN, Mendes PL, Zabjek K, Becker HG, Mathur S. Postural disorders in mouth breathing children: a systematic review. Braz J Phys Ther. 2018;22(1):7-19. doi:10.1016/j.bjpt.2017.06.011