KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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虐待の経験がある人は不信感と否定的に偏った感情を抱きやすいって研究

Monday, March 15, 2021

精神科

 

今回は虐待する人の心理学について

皆さんは虐待に関するニュースなどを目にした時は、どのような感情を抱きますか?

許せない!何故そんなことをするのか理解できない、子供に手をあげるなんて何ということだ!など怒りや悲しみに関する感情を抱く人が多いのかもしれません。

しかし、虐待する側には何か問題があるのでは、と考えたことがありませんか?

完璧な人もいなければ、初めから狂っている人もいないのではないか?と私は思っています。

そんな虐待する人の心理学的分析を行った研究を紹介します。

少しは虐待に関する認識が深くなることかと思われます。


研究の内容

心的外傷後ストレス障害(PTSD)の認知モデルは、心的外傷が他者からの不信感と認識された脅威の増加の認知的変化を伴うことを提案しています。

これらの予測が、PTSD診断に必要な外傷性イベントよりもはるかに一般的な小児虐待(CM)のレベルが異なる個人にも当てはまるかどうかをテストしました。

CMのレベルが高いほど、不信感と脅威の認識が大きくなり、CMが多い参加者では不信感が変化しにくいと仮定しました。

研究は549名の参加者を募集しました。(M年齢= 29.2、女性74.5%)

CM、境界性パーソナリティ障害に関連するWebサイト、およびソーシャルメディアでのスノーボール法を介したオンライン調査を行いました。

参加者は、子供時代のトラウマ質問票(CTQ)でCMのレベルを自己報告しました。

次に、彼らは2ラウンドの架空の不信ゲームをプレイし、アバターからの予想される金銭的控除を推定することによって、アバターの認識された信頼性を示しました。

最初のラウンドの後研究者らは参加者に、彼らからほとんどお金が取られなかったというフィードバックを提供しました。

CMが多い人は、正のフィードバックへの反応が鈍く、次のラウンドでの推定値の適応が少ないと予想しました。

不信のゲームに続いて、参加者は、60の顔の感情表現を「非常にネガティブ」から「非常にポジティブ」までのスケールで評価する感情評価タスクを完了しました。

怒り、恐れ、幸せな表情を含め、CMレベルが高い個人がより否定的な評価を提供することを期待しました。

評価者と刺激(交差)のランダム切片を使用して線形混合効果モデルを実行し、すべての個人内予測子のランダム勾配をモデル化しました。


結果として、CMのレベルが高いほど、不信のレベルが高くなり、正のフィードバックに続く不信の減少が弱くなりました。

CMのレベルが高い個人は、より否定的にシフトした感情評価を示しました。


解説

この研究による結論は、変数が多々あるためこの結果がすべてというわけではないとのこと。

しかし、心的外傷後ストレス障害のある人、つまりは人に対する不信感が強い人ほど、虐待と関連していることが示唆されています。

さらに、この傾向にある人は他人の表情に対し、否定的な部分を強調してみるようになるようで、不信感に拍車がかかるようです。


どっちが先なのか?ということについては、言及がされていませんでしたが研究モデルからは虐待を経験した人は不信感が強い傾向にある、とのことでした。

これって負のループを起こしそうにも思えますね。


まとめ

虐待を経験した人は、対人関係に不信感を抱きやすくあり、表情についてもマイナス面ばかりに注目する傾向にあるようです。

私なりには、該当する人が家庭を持ったとしても、子供に対して同じような行動をとったとしたら・・・負の連鎖になるのか?という過大解釈までしてしまいました。

研究ではこのようなことは証明されていませんので、聞き流して頂きたいのです。


何故人を信じることが出来ないのか?という原因は虐待であることも考えなければならない、ということだそうです。



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