KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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膝の負担を減らすための8週間トレーニング介入の結果

Monday, March 15, 2021

運動

 

今回はトレーニングと傷害予防について

皆さんはバスケットボール競技で多いとされている傷病名はご存じでしょうか?

最新の情報を仕入れたわけではありませんが、基礎医学を学ぶ際にバスケットボールでの負傷では、女児の前十字靭帯損傷が多いと習いました。

臨床でも、当てはまった例は4例ほどあり、少ないバスケットボール選手の介入の中で中々な遭遇率だったと思っています。

そんな膝の負傷を防ぐために行った介入を調査する研究を紹介します。

研究の内容

下肢の筋骨格モデルを使用して、着地トレーニングを受けていない女性が経験する筋肉、および関節の接触力に対する筋力トレーニング介入の効果を評価することが目的となる研究です。

18~28歳までの16人の訓練を受けていない女性がこのコホート研究に参加し、介入群と​​対照群に均等に分けられました。

介入グループは、下肢後面の筋力の改善を目標として、8週間トレーニングを受けました。

30 cmのプラットフォームからの両側、および片側の落下着地のメカニズムは、股関節伸展試験中の下肢の等尺性強度と同様に、介入前および介入後に記録されました。

内肋間筋と関節の接触力は、筋骨格モデルであるFreeBodyを使用して計算されました。


結果として、介入群の強度は平均35%増加しましたが、対照群は変化を示しませんでした。

着地時の運動学と地面反力には、テスト前からテスト後へのわずかな変化しかなく、統計的に有意ではありませんでした。

両方のグループは、着地中の臀筋力のテスト後の増加と、両方の着地での脛骨大腿骨関節負荷の外側から内側へのシフトを示しました。

ただし、臀部の力と外側から内側へのシフトの増加の大きさは、介入群で有意に大きかった。


解説

上述のものは、研究の結果などを翻訳し、記述しただけとなりますが、イマイチ内容が分かりづらかったかと思われます。

この研究では、着地時における体重のかかり方に注目されていました。

基本的に、足の長軸の中で外側に体重が掛かりやすくなると、膝の負担が増えると考えられています。

研究では、この軸のズレを修正するようにトレーニングを実施された、というものになっていました。

人が外側の筋力に頼りすぎると、殿筋や外側広筋、腓骨筋や腓腹筋あたりに負荷が偏ります。

この偏った筋力のバランスを修正するプログラムを実施したところ、運動力学的な利点は変わりませんが、外側面に掛かっていた体重を内側に変更することが出来ていたようです。

トレーニングとして、大腿部後面、つまりはハムストリングスや内転筋群の一部、外側広筋(一部は解剖学的に大腿部後面に位置するため)などを鍛えることによって、こういった結果になったというわけです。


個人的な感想として、臨床経験からこの事象は再現可能であったのですが、運動力学的な変化がそうなかったのは驚きの結果となっています。


まとめ

膝の負担を減らすために、大腿部後面の筋力を増加させるトレーニングによって、予想される膝の外傷を防ぐ可能性がある、という研究結果でした。

再現しやすい、という経験からのおススメな内容となっていますので、臨床経験1年目の人などは知っていても損はありません。


Czasche MB, Goodwin JE, Bull AMJ, Cleather DJ. Effects of an 8-week strength training intervention on tibiofemoral joint loading during landing: a cohort study. BMJ Open Sport Exerc Med. 2018;4(1):e000273. Published 2018 Jan 13. doi:10.1136/bmjsem-2017-000273

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