KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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孤独が与える健康被害について

Sunday, March 21, 2021

心理学



 今回は健康と小さな親切について

皆さんは他人に小さな親切をするように努めていますか?

親切を行うことが自分にも返ってくることは誰もが知り得ることかもしれませんが、どの程度健康面に寄与するのか?ということについてはあまり知られていません。


人間は社会的な生き物であるため、自分がコミュニティの一員であるように感じることは一種の幸福感ともいえます。
しかし、私たちは自分を支える関係を作り、維持するのに苦労することが大半です。

社会的孤立と孤独感

「社会的孤立」と「孤独」はどちらも問題を引き起こす可能性があります。

「孤立とは、他の人々が物理的にそこにいるかどうか」ということです。
「孤独であることは、他人とつながっていると感じない」ということです。

ロサンゼルスのカリフォルニア大学ロサンゼルス校で、孤独を研究しているスティーブコール博士は以下のように説明します。

孤独は気分が悪くなるだけでなく、健康に害を及ぼすこともあります。
孤独を感じる人は多くの疾病を罹患するリスクが高いと言われています。

多くの疾患とは、心臓病、高血圧、アルツハイマー病が含まれ、孤独は高齢者の死亡リスクを高める可能性があります。

これらのリスク増加は、行動の変化から変わることがあります。

研究による説明

「孤立している」と感じる人には、正しい食事、運動、医師の診察を受けるように勧めている友人や家族がいないことがあります。
新しく研究された結果では、孤独自体が私たちの健康にも悪影響を及ぼすことを示唆しています。

「孤独な人々は自分たちの生物学に違いがあるため、病気にかかりやすくなります」
とCole氏は説明します。

氏らは、孤独が免疫システムにどのように影響するか?をテーマに研究していました。

研究者らは、孤独が免疫系の細胞の炎症を促進する傾向を変えるかもしれないことを発見しました

そもそも炎症は、私たちの体が傷害から回復するのを助けるために必要なメカニズムとなっています。
しかし、炎症が長引くと慢性疾患のリスクを高める可能性があります。


孤独を感じる人は、ウイルスと戦うのが困難な状況になっている可能性もあり、それは免疫細胞の弱体化を意味しています。

「それで孤独な人々はさまざまな感染症に対してより脆弱になります」
とCole氏は付け加えます。

孤独と老化

孤独と年をとることは関連していることが示唆されています。

人は、どんな年齢であっても孤独を感じます。
最近の調査によれば、若いアメリカ人は年配の大人よりも孤独を感じる傾向があります。
ソーシャルメディアのツールやリソースが、若い人たちが現実の生活の中でつながっていくのを妨げている、という調査結果もあります。
しかし、この調査結果が正しいかどうかには疑問点もあるため、さらに研究が必要となります。

「人々が孤独について話すのは難しいかもしれません」
とCole氏は説明します。

寂しい気持ちがある時点で、孤独について誰かに打ち明けることが難しいのかもしれないので、孤独であることを何かの間違いのような感覚を思っているのかもしれません。

NIHが資金提供する研究者たちは、人々が孤独のサイクルを打破するのを助ける方法を模索しています。

孤独の解決法

研究によれば、
「孤独感は他人を助けることで軽減できることが示されている」
とCole氏は言います。

したがって、他人を助けるための介護やボランティアは、人々が寂しさを感じないようにするのに役立ちます。

さらに、人生の中に目的意識を持つことは孤独の影響と戦うためのもう一つの方法かもしれません。

人生において強い使命感を持つことは、より健康的な免疫細胞につながることがわかっています。

「そして、あなたがあなたにとって重要な目標を追求し始めるとき、あなたはそれをするためにほとんど常に他の人と協力しなければなりません」とColeは言います。

"それは、人間関係をまとめるのに役立ちます。"と言われています。

Cole SW、Hawkley LC、Arevalo JM、Cacioppo JT。Proc Natl Acad Sci US A. 2011年2月15日; 108(7):3080-5。doi:10.1073 / pnas.1014218108。Epub 2011 2月7日PMID:21300872。Cole SW、Capitanio JP、Chun K、Arevalo JM、Ma J、Cacioppo JT。Proc Natl Acad SciUS A. 2015年12月8日; 112(49):15142−7。doi:10.1073 / pnas.1514249112。EPUB 2015年11月23日。PMID:26598672。


まとめ

孤独であることと、生体の免疫システムに影響があることが関連していることが示唆される研究となってました。

スマホやSNSが発達する以前では、コミュニケーションをとる場所は今までと異なっていましたが、発達した今となってはオンライン上のコミュニティが盛んになる傾向となっています。

人生を幸福にしたいから?
何かを成し遂げたいから?
他人に幸せになって欲しいから?

人が孤独を紛らわせるために、色々と理由を考えるのかと思われますが、単に寂しいから人とのつながりが欲しい、という理由も素直な気持ちの表れかもしれません。

そんな孤独や孤立を防ぐためにも、小さな親切から始めてみるのもアリかと。

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