今回は健康情報の見極め方について
皆さんは健康情報に騙されたりしていませんか?
COVID-19感染によるパンデミックでは、あらゆるデマが拡散され私の身内にもデマを信じる人がいたので驚きでしたが、こういった情報の真偽を判断することの困難さがうかがえます。
医療従事者であったとしても、みんながエビデンスに基づいた医療を提供しているわけではなく、根拠のない治療法を実践する人も少なくはありません。
これは新治療や治験などを含まずに、根拠性のない民間療法を実践するという意味です。
そんな医療従事者にならないよう、そんな医療従事者らから騙されないように、正しい情報を得る方法を紹介します。
1.根拠を確かめる
動物実験では、「この病気の治療に有効」と言われることは多々あります。
人でも効果があるかどうかはわからないのに、情報が出回ってしまう現状もあります。
人に対する研究(臨床研究)で、本当に効果が確認されていることが大切です。
知る方法の1つとして、web上で公開されている研究データを閲覧することも1つです。
難しいと感じたら、専門でわかっている人に解説してもらうことを勧めます。
2.情報に偏りがないか確かめる
例えばですが、長く通院している患者さんだけに、「この治療法を受けていかがでしたか?」と質問します。
治療法が効いていると信じて通院している患者さんは、「効いています」と答えます。
患者さんのなかには、「治療法が効いていない」と思って病院に来るのをやめてしまった人もいるのですが、そのような患者さんへその後を確かめることは困難になることもあります。
このような状況というものは、多々あるものです。
施設、役職、権威関係なしに起こり得ることになります。
これらの不明確な情報は信じても良いものでしょうか?
3.数字を見極める
数字は使い方によって、人が受けとるイメージが変わります。
もっともらしく数字で示されると、客観的で中立的なもののように感じます。
数字の性質を利用(悪用?)すれば、情報の送り手にとって都合のよいメッセージを出すことができます。
例えばですが、100人中30人に効いた治療方法があったとします。
それを30人に効いた!と表現するか、70人には効かなかったけど、30人には効果が見られた!と言うとどちらの見せ方に魅力を感じますか?
広告などでは、このような方法が選ばれていることもあります。
受け取り手によって印象が変わってくるため、判断を間違えやすい要素の1つです。
4.結果の「分母」を知る
成功談、体験談、魅力的な話に出会った時は、「全体のうち、どれだけの人のことなのかな?」と考えるようにしてください。
情報によっては、全体(分母)を隠して、ほんの一部の出来事(分子)だけに注目が集まるようにしているものもあります。
例えば、600人の方に満足頂けた方法です!と言っている広告があったとします。
1000人中の話なら、中々魅力的な数字ですが10万人ならどうでしょう?
途端に印象が変わると思います。
そうやって数字を操作して、自分達の都合の良いように操作していることが多々あります。
5.いくつかの原因を考える
体調がよくなったり、悪くなったりすると、原因は何だろうと考えます。
健康の維持、改善するために、原因を理解することはとても大切です。
ところが、ひとまず目についた出来事を原因だと思いこんでしまうことがあります。
「ここだけ変えればよい」と一点に集中しすぎると、他の重要な原因を見落としてしまうかもしれません。
例えるなら、膝が悪い!と言っている人がいます。
原因は関節の中の軟骨だよ、加齢が原因だよと言われると、若返ろうとしたり、軟骨を取り戻すような考えを持たれる方がいます。
でも、太っていることも原因の1つかもしれません。
原因を考えるときは複数に、改善していく時は1つずつ。
6.因果関係を考える
物事の因果関係を正しく見定めるようにします。
実際の出来事では、何が原因で何が結果だったのか、区別できないことも少なくありません。
難しく聞こえますね。
例えばですが、3年間風邪にならなかった!という人がいます。
その人は毎日運動を20分間し、食事もバランス良く食べます。
そして、予防のために健康食品も摂っていたとします。
何が要因で、風邪にならなくなったのかわからないですよね?
つまりは、これらすべての要素があったから病気にならなかった結果かもしれません。
そういうことだろうねってぐらいで考える必要があるということです。
7.比較対照を知る
他の場合との比較があって初めてその方法に効果があるということが言えます。
比較のない状態で言われていることは、ただの思いこみかもしれません。
例えると、痩せるのに運動をしたから痩せた!という人がいたとします。
もしかすると、運動だけではなく食事にも気を使っていたのかも知れません。
そんな体験談を集めて、運動したら痩せる!というように広告されます。
当たり前ですが、10人参加して皆が同じように痩せるとは考えにくいです。
8.ネット情報を簡単に信じない
ネット検索をするだけで、たくさんの情報にふれることができます。
でも、残念ながらネット情報には、信頼できるものから怪しいものまでさまざまな情報が混在しています。
そして、ネット検索で上の方に出てきた情報が信頼できるとは限りません。
※雑誌や新聞、テレビなども同様です。
9.情報の出典を知る
「医師の研究で明らかになりました」「学会で発表されました」と言われると信じてしまいそうになります。
なんだか格式高く感じられるかもしれません。
ここで知っていて頂きたいのは、根拠性は高いもの低いものとあります。
個人の体験談、専門家の意見は最も低いものとなり、
動物実験 → 臨床結果 → 盲目試験 → ランダム比較化試験
と種類があります。
最も根拠性が高いものは、システマティックレビューと言われる研究です。
情報の出典元となる時は、これらのどれかに当てはまるはずです。
10.出来事のプラスとマイナスを知る
情報を見て何かを判断する時に、意識したいのが「ベネフィット(利益)とリスク(危険)の比較」です。
いろいろな物事との付き合い方を決めるには、利益と危険の比較が必要です。
まとめ
10コのことを覚えて、実際に情報を見極めるとなると大変ですね?
しかし、多くの情報に触れる昨今では、これらを行うことが必需となり、根拠のない情報により被害に遭うことも少なくはありません。
私は騙されない!って言っている人や専門家などの知識に自信がある人程、騙されやすかったりもするので、定期的に見返しても良い情報だと思われます。
この情報の出典は厚生労働省のものになっているのですが、厚労省だからといって騙されていないわけでもないですよね・・・