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予防グッズに効果なし?下肢軟部組織走行障害を予防できるか検証したって話の研究

Thursday, March 18, 2021

運動

 

今回は怪我予防法の効果について

皆さんは足の怪我を予防していますか?

靴、インソール、靴下、トレーニングなどによる足の怪我を予防する方法は、巷に幾らでもあります。

それらは、効果が証明されているかのようなキャッチコピーで販売されていますが、実際に効果的とされているものはあまり耳にしません。


それらが実際にどう効くのか?を調査した研究がありますので、紹介します。

研究の内容


この研究は、下肢軟部組織走行障害を予防するために、インソールを使用する介入の効果を評価することが目的とされています。

下肢軟部組織障害として挙げられるのは、シンスプリントや後脛骨筋腱炎、長趾伸筋腱炎、アキレス腱炎、各種滑液包炎など。


研究は、

25の試験から30,252人の参加者が対象となりました。
・軍隊の新兵
・一般のランナー
・サッカーの審判
・囚人


介入方法は4つの主要な予防戦略にて分類されています。
・運動
・トレーニングスケジュールの修正
・装具の使用
・履物と靴下

結果として、ストレッチが下肢軟部組織損傷を軽減した、という証拠はありません。
また、コンディショニングエクササイズのトレーニングに関しても、筋力、柔軟性、協調性を改善するためエビデンスは見つかりませんでした。

トレーニングの時間を延ばす、スローペースなメニューに変更しても初心者ランナーの怪我を減らすという証拠は見つかりませんでした。

膝蓋大腿装具は、前膝痛を予防するのに有効であると思われる。

オーダーメイドのインソールは、軍隊の新兵の内側脛骨ストレス症候群(シンスプリント)を減少させることに関しては、ないよりかは効果的かもしれません。

標準的なランニングシューズではなく、足の形状に基づいてランニングシューズを着用すると、ランニング傷害の発生率が有意に低下したという証拠はありませんでした。


レビューアのコメントですが、

全体的に見て、集中走行後の軟部組織損傷を軽減するための介入の有効性に関する証拠基盤は非常に弱く、バイアスのリスクが低い試験はほとんどありません。レクリエーションや競争の激しいランナーの介入をテストするための、よりよく設計され報告されたRCTが必要です。

ヤンSS、ヤンEW、ギレスピーLD。下肢軟部組織走行障害を予防するための介入。系統的レビューのコクランデータベース2011年第7号。番号:CD001256。DOI:10.1002 / 14651858.CD001256.pub2。 


まとめ

ストレッチ、コンディショントレーニングについては、下肢軟部組織損傷を予防するかどうかは不明とのこと。

膝の装具(サポーターなど)については、膝の前方の疼痛を予防する期待は出来るとのこと。

インソールは無いよりはマシぐらい。

といった結果となりました。


1つ気を付けねばならないのは、これらの方法に根拠性が示されているものについて。

根拠がある、と謳っているものがありますが、

・○○監修
・実験で証明

などと書かれているものは怪しいものも含まれています。

監修は、何かしらで関わっていればいいので、権威効果が欲しいがためにメーカーはお金を出している場合があります。

実験で、という場合は動物実験や、会社が資金提供している実験などでは、幾らでも都合の良い結果になるようですので、研究の資料を見極めなければなりません。


そんなのわからないよ!という人もおられるかと思いますが、奇跡的に疼痛などの予防が出来るグッズなどはないことだけご存じください。

トレーニングに関しても、繰り返し行うことで体も強くなっていきますので、たった○○分で!ということは無いと思っていた方が良いかと。

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