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This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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臨床症状におけるプラセボ効果はないって話の研究

Wednesday, March 17, 2021

医療基礎知識

 

今回はプラセボ効果のエビデンスについて

皆さんはプラセボ効果を感じたことがありますか?

医療従事者なので、治療法に関するプラセボ効果に注目することが多いのですが、心理的側面にも影響しているこの効果は治療の成果を判断する上で混乱を招くことがあります。

このブログの別記事でも取り上げているのですが、
この記事を書く時に参照にした研究論文では、

・プラセボ効果を与える時は、自信を持って治療で期待できる効果を言い切る。

ということがプラセボ効果を患者に与えるきっかけになる、ということを示しているものでした。

私が厄介だ!と感じるのは、行っている治療介入の成否が判断しづらくなるため、手技などの技術の向上に結び付きづらくなることと、今後提供していいものかどうかに困ります。


そんなプラセボ効果について、臨床的な意味があるのかどうかを調査した研究を紹介します。

研究の内容


この研究の目的は、多数の臨床状態にわたってプラセボ効果を一般的に評価し、プラセボ介入が特定の臨床状態に及ぼす影響を調査することでした。

先にこの研究による結論から言いますと、プラセボ効果は臨床症状において、有意的な効果をもたらさないことがわかりました。

研究は、

・234件の試験のうち202件が基準に達しており、60の臨床症状を調査。
・バイアスのリスクを16の試行(8%)のみで低い。

・患者報告に対するプールされた相対リスクは0.93であり、観察者報告に対するプール相対リスクは0.93である。

3件以上の試験で調査された4つの臨床症状において、プラセボ介入の統計的に有意な効果は見られません。
・痛み
・吐き気
・喫煙
・鬱病


・プラセボ治療の全体的な効果、標準化平均差(SMD)が、-0.23。
・患者報告によるアウトカムのSMDは-0.26
・観察者報告によるアウトカムのSMDはSMD -0.13

これらから痛みに対する効果を見出したものとして、
・吐き気 SMD -0.25
・喘息 SMD -0.35
・恐怖症 SMD -0.63

レビューアのコメントとして、

我々は、プラセボ介入が一般的に重要な臨床効果を持つことを発見しませんでした。しかしながら、プラセボの患者報告の効果と偏った報告とを区別することは困難であるが、特定の状況では、プラセボ介入が患者報告の結果、特に疼痛および悪心に影響を及ぼす可能性がある。偏りのリスクが低い試験でも、痛みに対する影響は無視できるものから臨床的に重要なものまで様々であった。プラセボの効果の変動は、試験の実施方法や患者への情報提供方法の変動によって部分的に説明されていました。

HróbjartssonA、GøtzschePC。すべての臨床症状に対するプラセボ介入。系統的レビューのコクランデータベース2010、第1号。番号:CD003974。DOI:10.1002 / 14651858.CD003974.pub3。 

まとめ

臨床症状に影響がない、ということで結論付けられてはいましたが、精神的な側面によるプラセボ効果は活用していくべきなのでは?ということも示唆されていました。

冒頭にもありましたが、医療従事者に治療効果の成否を尋ねた場合、返答される答えに成功を確信するものと、失敗する含みを持つ内容だと、前者の方法を言う医療従事者から治療を受けたい!と思うはずです。

そういった部分では、プラセボ効果を適切に使う場面もあっていいものと思いますが、本当に信頼を勝ち得る人は、根拠のない治療法に自信をもっている人よりも、治療のメリット・デメリットをしっかりと伝えてくれる人なのではないかと思っています。


私がいる柔道整復師業界では、まぁ酷い人も多いのでご注意ください。


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