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脱水時に起きる筋痙攣に水分補給は間違い?って研究

Sunday, March 14, 2021

運動

 

今回は筋肉の痙攣と水分補給について

皆さんは夏のような暑い時や、運動の最中や終わった時などに筋肉が痙攣することはありますか?

割と誰にでも起こり得るこの現象に対して、対処法として水分補給をする、という選択肢があるかと思われます。

攣っている最中は、辛いため何が何でも解消するために何でもしますが、果たして水分補給が適している方法なのかは疑問となっています。

他の方法として、OS-1のような経口補水液のような電解質を補給できるようなものがありますが、どちらが良いのかを研究していた論文を紹介します。


研究の内容

これまでの研究では、筋肉の痙攣への影響について、暑さの中での運動によって誘発された脱水後の水分と経口補水液(ORS)の摂取量を比較していません。

本研究では、脱水後の水分摂取が筋肉の痙攣の感受性を高めるという仮説を検証しましたが、これはORS摂取によって防止されます。

内容として、10人の男性を対象としていました。

体重が2%減少するまで、暑さ(35°C–36°C)で2回の下り坂ランニング(DHR; -5%)を行ってもらいました。

DHR後10分、水またはORSを異なる日に摂取させました。

筋肉の痙攣の感受性は、摂取前、摂取直後(0)、摂取後30分および60分でけいれんを誘発する電気列車刺激の閾値周波数(TF)によって評価されました。

血清電解質濃度を測定するために、DHRの前、直後、および80分後に血液サンプルを採取しました。


結果として、TFによって評価された筋痙攣の感受性は、両方の条件(水:24.6±2.1 Hz、OS-1:24.7±1.4 Hz)で、ベースラインからDHR直後まで変化しませんでした

TFは、水分摂取後に4.3 Hz(30分)および5.1 Hz(摂取後60分)減少しましたが、OS-1摂取にそれぞれ3.7および5.4Hz増加しました。

血清ナトリウムおよび塩化物濃度は、水分摂取後に減少しましたが、OS-1摂取後は維持されました


結論として、脱水後の水分摂取により電解質の希釈が起こり、筋肉の痙攣が起きやすくなります。

OS-1の摂取により、筋肉の痙攣に対する感受性が低下することを示唆しています。


考察

研究結果として、体重の2%分の水分を喪失した後に、筋肉の痙攣が起きる状況となった場合、水分補給をしても痙攣する可能性はあるが、経口補水液摂取の場合は痙攣する可能性が下がるということでした。

この理由として、脱水後に摂取する水分により、血液内の電解質に希釈が起こるためなのでは?と考えられておりました。


研究の内容として、対象人数が10人であったという点と、資金提供が製造会社(大〇製薬)であったという点もあるため、鵜呑みにしても良いのか?と考えます。

一応、資金提供元からの監視は無かった、という記述はありますが・・・


電解質とありますが、特にナトリウムと塩化物の希釈により、筋痙攣が起きるのではないか?とされています。

この点については、普段からも注意しても良いのかもしれません。


トレーナーなどの運動に関わる医療従事者らは、これらのことを知っているだけでも筋痙攣に対して対処することが可能となります。

まぁ、同じような水分摂取を促すのであれば単なる"水"よりも経口補水液で良いのでは?というやつですね。


摂取タイミングとして、運動中や運動後でも良いそうです。



こういった対処を出来るようになることも大事ですが、運動前に体調を管理する、という点で食事の状況や疲労度合いなど、得られる情報を管理することにより、筋痙攣から予防することは出来る可能性が上がると思われるため、事前に運動する人の状況を知ることをやってみては?と。

参考までに

・経口補水液の成分
ナトリウム(2970 mg / L)
カリウム(794 mg / L)
マグネシウム(25 mg / L)
塩化物(1801 mg / L)
ブドウ糖(18 300 mg / L)

・水
ナトリウム(2 mg / L)
カリウム(0.5 mg / L)
マグネシウム(18 mg / L)
塩化物(1.2 mg / L)


補足

研究中に行われた測定の中で、水にブドウ糖を加えるだけでも良いのかも?といった考察もされていました。

理由として、実験に使用された経口補水液にはブドウ糖が含まれており、他の電解質による影響ではなく、ブドウ糖による影響で筋痙攣が起きる可能性が下がったとも考えられるためです。

これは、水と経口補水液に含まれている成分に異なる点として"ブドウ糖"があるため、これらの結果はブドウ糖の影響という点が除外できないからであるようです。



まとめ

筋肉の痙攣が起きる要因として、運動中に喪失した水分を補うための水分により、血液中の電解質の希釈が挙げられました。

それによる痙攣に対処するために、経口補水液のような水分で補給することが望ましい、といった内容でした。

水にブドウ糖を混ぜたものでも良いのでは?といった考察点もありますが、追加研究待ちの内容ではありますので、現状では経口補水液で研究結果が再現できる可能性を信じたほうが良さそうです。


Lau WY, Kato H, Nosaka K. Water intake after dehydration makes muscles more susceptible to cramp but electrolytes reverse that effect [published correction appears in BMJ Open Sport Exerc Med. 2019 Apr 11;5(1):e000478corr1]. BMJ Open Sport Exerc Med. 2019;5(1):e000478. Published 2019 Mar 5. doi:10.1136/bmjsem-2018-000478

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