今回は環境プラセボについて
皆さんのかかりつけの病院はどのような装いでしょうか?
そして、それらの装いによって通う病院を決定することはありますか?
実際に提供される医療サービスは同等なものであったとして、環境が違うだけで効果の出方が違うという研究がありました。
それらを環境プラセボと呼んで切る研究結果を紹介します。
研究の内容
医療サービスにおけるプラセボ効果と同様に、人々は外部刺激に基づいて治療の質を期待しているようです。
サービスが提供される環境が、人の判断や行動に与える影響についての洞察を得るために、健康関連の問題に焦点を当てて、定量的調査(N= 851)リハビリクリニックの改修前後の4つのグループで。クリニックの全体的な近代化に伴い、エントランス、ロビー、一部の病室が改修されました。
ロビーには、サービスカウンターやコーヒーバーのほか、明るい色や新しいフローリング素材を採用し、よりモダンでクリーンな空間を演出します。
その結果、患者は、近代化された診療所で、健康行動や食品の品質を変更する意図を高く評価していることが明らかになりました。
これらの違いは、建物の変更だけに直接起因するものではありません。
したがって、医療用プラセボと同様に、デザインプラセボ効果と呼ばれる効果は 介入のために直接変更されていない側面の改善された評価を説明しています。
その他の重要な影響は、冬と夏の気候に起因します。
夏の間は、待合室、雰囲気、病室、スタッフの評価が大幅に高くなりました。
したがって、建築設計や天候への配慮などの美的属性は、判断結果や行動意図に直接影響を与える知覚的プラセボとして効果を発揮すると考えられます。
特定の設計および一般的な環境特性を患者への影響と一致させ、その影響の強さを調査するには、さらなる研究が必要となります。
解説
医療サービスを提供する場所にも、治療効果への影響があることを示唆する結果となっていました。
さらにこの研究結果には制限があり、整形外科でありリウマチ疾患の患者を対象にしていた、といった限定的な条件下により導き出されたものとなります。
つまりは、どの病院にも同じようなことは言えない、という反面で環境プラセボ効果があることもわかるものであります。
研究結果の中で、新しい病室に対して患者の期待などは増加する傾向となっていたのですが、医師に対する期待は下がり、待合室が新しくなることは好ましくない結果となっていました。
医師に対する期待値と待合室に対する上述の結果の理由として考察されていたのは、待たされる時間が長くなることを感じ取っていたのではないのか?とあります。
待つ時間が長くなることは、患者にとって望ましいことではなく、さらに帰属意識の低下も懸念されていました。
こういったことを環境ノセボ効果という負の側面であり、改修する利点と欠点が示されたことになるのかもしれません。
まとめ
医療現場のあらゆる環境で当てはまるとは言えませんが、環境を改修することは、
メリット
患者の治療に対する前向きな態度や期待が増加
デメリット
・改修後のデザインが、患者の好みによって裏目になる
・帰属意識が低下し、待たされることを感じ取る人もいる
といった側面があるようです。
建物のデザインに関しては、は?となるものもあり、利便性とは程遠い医療施設を見たこともあります。
が、古すぎる施設だと言い知れぬ不安感を感じたりもしますので、難しい問題だなぁと思いました。
Rehn J, Schuster K. Clinic Design as Placebo-Using Design to Promote Healing and Support Treatments. Behav Sci (Basel). 2017;7(4):77. Published 2017 Nov 9. doi:10.3390/bs7040077