今回はミラートレーニングと健常者について
皆さんはミラートレーニングをご存じでしょうか?
一般的には、神経系の疾患を持つ人のリハビリに使われるトレーニングなのですが、解釈次第で健康な人にこれを実施しているケースを聞いたことがあります。
ミラートレーニングは鏡を工夫して使って行われるもので、正面の鏡を見ながらやるトレーニングとはまた違った意味を持つトレーニングのことです。
これが健常者に有効なのか?を調べている研究を紹介します。
研究の内容
ミラートレーニング(MTr)は、神経疾患の患者のためのリハビリテーション技術です。
健康な人の運動機能への影響についてのコンセンサスはありません。
この系統的レビューとメタアナリシスは、健康な個人の運動機能に対するMTrの影響を考慮しているものです。
538人の健康な個人を対象とした14件のランダム化比較試験が対象となりました。
2つの短期研究は、MTrが受動的視覚パターンより劣っていることを示しました。
方法はさまざまであり、3つの代替トレーニングパターンと比較してMTrの有効性を裏付ける証拠は限られており、年齢、スキルレベル、または手の優位性の分析を裏付ける証拠は不十分とされています。
結論として、MTrが健康な個人の運動能力に影響を与えるという限られた証拠は弱く、研究間で一貫性がありません。
運動能力に対するMTrの影響が、直視パターン、受動視パターン、または行動観察よりも顕著であるかどうかは不明です。
MTrの短期的および長期的な利点と、健康な個人の運動学習に対するその影響を調査するには、さらなる研究が必要です。
考察
筋肉や神経にアプローチする、というよりは脳にアプローチすることも考えられた方法なミラートレーニングです。
トレーニングによる"奇跡"を求める人が手を出しそうな内容だなぁ~と思って読んでいましたが、確かに研究者のコメントと同じように結果に不透明性があるため何とも言えないのが現状なのだと思われます。
スポーツ競技者や熟練したミュージシャンで効果的な研究結果などがあるため、それらを読んで取り入れたりしているようですが、ミラートレーニングと鏡を使った別の方法のトレーニングとで大きな差がなかったりとで何とも言えません。
ミラートレーニングや研究で行われたアクティブビジョントレーニングとパッシブビジョントレーニングなど"鏡"を上手く使ったトレーニングが功を成すかどうかははっきりと言えないということです。
よって、ベースのトレーニングにプラスするぐらいな要素しかない、と思っていただいた方が良いのかもしれません。
まとめ
ミラートレーニングを健常者がやることに対する効果、というものははっきりと言えないということだそうです。
元ミュージシャン(ヴォーカル、ピアノ)としては、この方法に近いトレーニングをやっていましたが、何の効果もなかったという体験談があります。
やりたければどうぞ、ぐらいだと。
Chen Y, Wang P, Bai Y, Wang Y. Effects of mirror training on motor performance in healthy individuals: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open Sport Exerc Med. 2019;5(1):e000590. Published 2019 Dec 4. doi:10.1136/bmjsem-2019-000590