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This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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ロックダウンによる身体活動量が減少した!という証拠がなかったスイスの研究

Tuesday, March 16, 2021

運動

 

今回は自粛期間の身体活動量について

皆さんはCOVID-19感染拡大による緊急事態宣言などで外出などが制限されたことにより、身体活動量が減少しましたか?

メディアなどでは、お家時間が増えたことにより運動する量が減った、コロナ太りなどの言葉が先行し、あたかも多くの人が外出自粛などで身体活動量が減ったかのような印象を植え付けています。

実際のところどうなのか?と思いますが、スイスの研究ではこのことに対して調査を行ってくれているものがあります。

国が違うから事情が違ってくる点はありますが、少なくとも日本よりも自粛に対する制限がキツイ国もあります。

そのことも踏まえてこの研究の結果をご覧ください。

研究の内容

COVID-19感染拡大防止によるロックダウンにより、通常の日常生活が中断され、座りがちな行動が増加した可能性があります
この研究の目的は、スイスのサラリーマンの身体活動のレベルに対するCOVID-19パンデミックの影響を調査することでした。

18〜65歳の2つのスイス組織のサラリーマンが含まれていました。

スイスでCOVID-19パンデミックが発生する前の2020年1月のベースラインデータを、2020年4月の封鎖段階での追跡データと比較しました。

身体活動のレベルは、国際身体活動アンケートを使用して評価しました。
対応のあるサンプルのt検定またはウィルコクソン符号順位検定を統計分析のために実行しました。


76人の参加者からのデータが分析されました。
54人の参加者は女性となっていました。

ベースライン時の平均年齢は42.7歳(21.8から62.7の範囲)でした。

参加者の約75%は、COVID-19のパンデミック前と封鎖中の両方で、最小限の身体活動に関する推奨事項を満たしていました。

週あたりのタスク分(MET分/週)に相当する代謝当量の総身体活動の低下に関する弱い統計的証拠が見つかりました

 3つのタイプの活動の減少の証拠
・歩行(推定= -189、95%CI –∞から100、p値= 0.28)
・中程度の強度の活動(推定= -200、95%CI –∞から) 30まで、p-値= 0.22)
・活発な強度の活動(推定値= 80、–∞から460までの95%CI、p値= 0.74)

「高」、「中」、「低」の3つのカテゴリの身体活動全体で、参加者の17%がロックダウン中に活動性を失い、29%が活動性を高めました。


結論として、COVID-19のパンデミックは封鎖の最初の数週間、スイスのサラリーマンのサンプルの総身体活動レベルの低下をもたらしませんでした。

ワークライフバランスと労働時間の改善がこの発見に貢献した可能性があります。


解説

この結論から、パンデミックによるロックダウンで起きた身体活動の影響として、活動量が減少した人は17%ぐらいであったとのことでした。


この結果に変数としてあるのは、

・季節による外出の困難
・勤務形態の変化
・外出制限の程度(ショッピングにおける入場制限など)
・運動施設の祝日による休館など

といった要因もあるため、この数値が鵜呑みに出来るわけではないとのこと。


そして、活動量が減った人らはスポーツクラブやスポーツ団体などで日頃から運動をしており、それらが休止したりすることで活動量が減少したとのことです。


そういった習慣がある人にとっては今回の外出自粛でも活動量が減った!と言える面はあるかと思われますが、そうでない人にとってはどれぐらい活動量が減ったのかは言い切れる部分が不明となります。

しかし興味深かったのは、この研究での討論点として挙がっていたのは、別の国で行われた同様のテーマによる調査によれば、日頃運動習慣が無い人がこれを機に運動するようになった人が33%がいた、という結果もあったりします。


後は、その人にとって身体活動の強度の中央値が不透明になっているという点が議論としてもなされています。

ベースラインとして2,150MET分/週の人がフォローアップ時に2,370MET分/週となりましたが、これが低いのか普通なのかを判断することが難しい、ということです。


例えばですが、日頃通勤だけ徒歩ですが、大半が公共機関による移動なので運動量も大してなく、職場でも休憩などの時間以外はデスクワークの人が、家にこもっている時間に家の掃除などで活動的になったらどうなのか?ということ。

感覚的に、外に出て活動していないので運動していないようにも思えますが、家にいても案外そうでないこともあるのかもしれません。


まとめ

研究の結果によれば、大半の人はロックダウンによる身体活動量の減少はみられていない、というものでした。

だからどうなのか、ということも思いましたが、メディアなどによる煽りで運動器具などの無駄買いが無いように自分の身体活動量の管理などをするきっかけにどうかな?とも思いましたので紹介した内容です。

スマートウォッチも1つ指標となるデータを残せますので、この機会にどうでしょう。

Aegerter AM, Deforth M, Sjøgaard G, et al. No Evidence for a Decrease in Physical Activity Among Swiss Office Workers During COVID-19: A Longitudinal Study. Front Psychol. 2021;12:620307. Published 2021 Feb 11. doi:10.3389/fpsyg.2021.620307

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