今回は慢性関節リウマチと鍼治療について
皆さんは関節リウマチという疾患をご存じでしょうか？
慢性疼痛の代表的な疾患として挙げられる関節リウマチですが、解決法として西洋医学由来の方法から東洋医学による民間療法まで、幅広く治療方法が提案されている疾患でもあります。
それぐらいこの疾患による疼痛を解決したい！というニーズから、各種治療法が提供されているのですが、紹介するのは鍼治療に関するエビデンスについて。
研究の内容
鍼で治療を行うと、身体内でモルヒネ様物質とエンドルフィンの分泌を促すことから、慢性関節リウマチの疼痛軽減に寄与できる可能性を検証している研究となります。
鍼治療による結果では、
・血管系の測定数値
・疼痛
・患者評価
・関節の腫れ
・全身の疼痛
・鎮痛薬を減せない
ということから、「有益な治療法ではない」という結論があります。
電気鍼による治療では、
・4か月先の疼痛も軽減できる
という有益な結果が得られていました。
補足として、
・熟練者にやってもらった方が好ましい
・鍼の種類
・鍼を打つポイント
といったことからも、結果にかなり差が出てしまう可能性はあります。
これらの結果は、2件の研究で84名に対して行われた実験をレビューしており、鍼治療では、赤血球の沈下速度、C反応性タンパク質、視覚的アナログスケール、関節の腫脹といった点を比較し、電気鍼では、プラセボとの比較を行った研究でした。
Casimiro L, Barnsley L, Brosseau L, Milne S, Welch V, Tugwell P, Wells GA. Acupuncture and electroacupuncture for the treatment of rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 2005, Issue 4. Art. No.: CD003788. DOI: 10.1002/14651858.CD003788.pub2.
まとめ
研究の結論からして、鍼治療における治療成果には根拠の質が低いため、関節リウマチに対する治療として検討するなれば電気鍼の方を選択する方が良いのかもしれない、という可能性が示すものでした。
最終的には好みによる側面も無視できませんが、疼痛に困る人にとっては少しでも、早く、疼痛の具合を軽減したいという願いもあるかもしれないため、他の方法を検討することも視野に入れて頂いた方が良いのかもしれません。
