今回はインセンティブによって変わる医療従事者の行動について
皆さんは働くことにあたって、インセンティブを求めますか?
一定以上の成果を収めるとインセンティブが得られるということは、人によっては働き甲斐となり、行動に変化があるポジティブな出来事のようにも思えます。
しかし、インセンティブありきな業界では、成果が出ていないと報酬が得られなかったりし、無理な営業行動に移る人もいると言われています。
勿論、自営業でやっている人はインセンティブなどはないため、この話は雇われている人に限定される話となります。
そんなインセンティブがあると、医療従事者の行動に変化があるのか?ということを調査している研究がありましたので紹介します。
研究の内容
32件の研究をレビューしている4件から特定しまとめたメタアナリシスになります。
研究結果により、インセンティブで変化があった行動と、そうでなかった行動を示してくれています。
変化のあった行動
・転帰にあたり、訪問や相談に関して有用性がある
・治療/ケアを改善するのに有用である
・紹介システム、入院に関しても有用である
効果のない行動
・ガイドラインのアウトカムを順守させること
症状やシステムのガイドラインを守って行動することに関しては、インセンティブが発生しても変わらないといった矛盾点もあります。
研究結果により、インセンティブで変化があった行動と、そうでなかった行動を示してくれています。
変化のあった行動
・転帰にあたり、訪問や相談に関して有用性がある
・治療/ケアを改善するのに有用である
・紹介システム、入院に関しても有用である
効果のない行動
・ガイドラインのアウトカムを順守させること
解説ですが、
患者の治療やケアに関して不十分な場合を、それらの行動を改善し、治療後も様子を伺いに訪問したり相談にのるなど行動に移ったり、必要に応じた入院措置や他病院への紹介などの行動が前向きになることが示されていました。症状やシステムのガイドラインを守って行動することに関しては、インセンティブが発生しても変わらないといった矛盾点もあります。
考えられることとして、
入院1人に○○円が追加報酬として払われることがわかれば、率先して入院させたり、治療行為に関しても積極的になったり、しなくても良い治療を提供する可能性もあれば、患者が望んでいないのに訪問したり電話したりと、インセンティブ欲しさに行動する人も出てくるのかもしれません。
Flodgren G、Eccles MP、Shepperd S、Scott A、Parmelli E、Beyer FR。医療従事者の行動や患者の転帰の変化における経済的インセンティブの有効性を評価するレビューの概要。系統的レビューのコクランデータベース2011年第7号。番号:CD009255。DOI:10.1002 / 14651858.CD009255。
まとめ
コロナ禍において、普段よりも業務に支障が出ている医療従事者にインセンティブを、という話がありましたが、支払われる目的によっては、思っていもいない結果になる可能性はある、ということです。
そして、インセンティブが出ても出なくとも、ガイドラインを遵守することに変化はない、ということなので、売り上げが厳しい医療機関にとっては患者に気づかれないようにやらかしている可能性もあります。
正しく行動されるように報酬が支払われれば良いのですが、人は目先の報酬が出たりすると、それ目的に行動するようにもなったりしますので、この件は安直に払えばいいという話でもないようにも思えます。
医療従事者に感謝するのであれば、過剰に医療機関を受診しない、に尽きるのではないでしょうか?
そうすれば本当に必要な人が、医療サービスを迅速に受けることが出来るはず、という理想論です。