今回は高齢者と降圧薬の中止について
私が飲んでいるわけではありませんが、親や臨床現場で対応させて頂いていた高齢の方々が、血圧が高いので下げる薬を飲まないといけない、ということで飲み続けています。
その時はこういった医療に関する知識や資格なども、持ち得ていなかったので、それらを飲み続けないと心疾患などのリスクが増加する、ということを聞かされていました。
本当にそうなのか？と考えていましたら、参考になりそうなレビューがありましたので紹介します。
研究の内容
計1,073人の高齢者を含む6つの研究をレビューしているものです。
調査対象者の平均年齢は58～82歳でした。
3つの研究では、降圧薬の投与量をゆっくりと減らしてから中止するような介入となっています。
対象となった参加者からわかったことは、降圧薬の中止が可能であることです。
そして、中止したグループの殆どの高齢者は、投薬を再開する必要はありませんでした。
この中の参加者から、降圧薬を中止すると血圧がわずかに上昇した、という証拠の確実性は低いですが、そのような報告がありました。
しかし、投薬を中止しても心臓発作、脳卒中、入院、または死亡のリスクが増加しなかったという確実性の低い結果がわかりました。
血圧の投薬を中止しても有害事象のリスクが増加せず、副作用が解消される可能性があるというエビデンスの確実性は非常に低いことがわかりましたが、これは十分に報告されておらず、結論を出すことができませんでした。
降圧薬の中止が影響したかどうかを報告した研究はありませんでした。
レビューアの結論
There is no evidence of an effect of discontinuing compared with continuing antihypertensives used for hypertension or primary prevention of cardiovascular disease in older adults on all‐cause mortality and myocardial infarction. The evidence was low to very low certainty mainly due to small studies and low event rates. These limitations mean that we cannot make any firm conclusions about the effect of deprescribing antihypertensives on these outcomes. Future research should focus on populations with the greatest uncertainty of the benefit:risk ratio for use of antihypertensive medications, such as those with frailty, older age groups and those taking polypharmacy, and measure clinically important outcomes such as falls, quality of life and adverse drug events.
まとめ
段階的に薬を減らし、中止するという流れで重篤な問題が報告された事例は殆どなかったようです。
予防目的という名目ですが、それって本当に？と思ってもしまう内容でしたが、基礎疾患の管理などもありますので、安易に中止しては？と促すのもどうなのかと。
結局は病状を管理している主治医と話し合いになりますが、薬を飲むことが苦痛ならばその思いを伝えてみてはどうなのかと思います。
仮に自分が飲まなければならなくなりましたら、その疾病の種類にもよりますが、薬を飲むこと自体を検討するかもしれません。
しかし、このレビューを見たからと自己判断で投薬を制限したりしないでください。
お願いします。
Reeve E, Jordan V, Thompson W, Sawan M, Todd A, Gammie TM, Hopper I, Hilmer SN, Gnjidic D. Withdrawal of antihypertensive drugs in older people. Cochrane Database of Systematic Reviews 2020, Issue 6. Art. No.: CD012572. DOI: 10.1002/14651858.CD012572.pub2.
