今回は健康情報を拡散するためのマスメディアの効果について
研究の内容
少数民族グループを対象としたマスメディア介入が、一般的なマスメディア介入よりも健康行動の変化に効果的であるか、効果が低いかを結論付けるには不十分なものになります。
1つの研究で、禁煙をアドバイスする内容の小冊子を一般的に、対象となった人々の文化に合わせた内容の小冊子のいずれかを受け取った後、参加者の喫煙習慣と禁煙行動を比較した研究です。
この研究では、グループ間で喫煙行動にほとんどまたはまったく違いがないことを発見しました。
マスメディアの介入がない場合と比較した場合、対象を絞ったマスメディアの介入により、禁煙行動に関する問い合わせの電話が増える可能性がありますが、その後の禁煙行動への影響は不明となります。
この結論は、3つの研究からの得られたものに基づいているものです。
ある研究では、参加者はケーブルテレビで一連の12のライブ番組を視聴できるようにし、食事と運動を通じて、健康的な体重を維持する方法についての情報が得られるようにしました。
視聴しなかった女性と比較して、参加者は僅かな運動習慣の増加と、食生活の改善への行動に前向きな変化をみせたことを報告しました。
しかし、対象となった参加者の体重は、変化しませんでした。
別に行われている2つの研究では、喫煙者が禁煙をするためのアドバイスを得るために、禁煙活動をサポートする電話を宣伝した大規模なキャンペーンを行っていました。
キャンペーン期間中、対象者からの電話件数は大幅に増加していました。
このレビューでは、対象を絞ったマスメディア介入と、個人的な相互作用を追加したマスメディア介入も比較しました。
3つの研究に基づくこれらの発見は決定的ではありませんでした。
介入行動が名誉既存の可能性や、メッセージへの抵抗の増加などの悪影響を及ぼした可能性があるかどうかを、報告した研究はありませんでした。
レビューアの結論
入手可能なエビデンスは、少数民族の集団を対象としたマスメディアの介入が、一般の人々を対象としたマスメディアの介入よりも健康行動の変化に効果的であるかどうかを理解するには不十分です。介入なしと比較した場合、対象を絞ったマスメディア介入は禁煙ラインへの呼び出しの数を増やす可能性がありますが、健康行動への影響は不明です。これらの研究では、さまざまな要素の影響を区別できませんでした。たとえば、行動の変化に関するメッセージを聞いた場合の影響、少数民族グループへの文化的適応、より適切なマスメディアチャネルを介したターゲットグループへのリーチの拡大などです。新しい研究では、居住国の主要言語以外の第一言語を使用する少数民族に対する的を絞った介入を検討する必要があります。
まとめ
Mosdøl A, Lidal IB, Straumann GH, Vist GE. Targeted mass media interventions promoting healthy behaviours to reduce risk of non‐communicable diseases in adult, ethnic minorities. Cochrane Database of Systematic Reviews 2017, Issue 2. Art. No.: CD011683. DOI: 10.1002/14651858.CD011683.pub2.