今回は職場のストレスと管理者の教育について
職場のストレスによって、関連する疾病を罹患するということは珍しくもなくなってきました。
私自身もその経験はあり、ストレスによって排泄物の色に異常が出た時は驚愕したことを今でも覚えています。
職場のストレスは人によって、原因も違えば発症する疾患も変化が出てきます。
こういった疾患を患うことに困っている人は年々増えていき、欧州連合では約22%の疾病がストレスによるものと報告もされていました。
そんな困ったストレスの原因を変えるためには、職場を管理している人間を教育したらどうなるの?というレビューを紹介します。
研究の内容
21の研究から、計3,479人の従業員を対象としたものをレビューしています。
16の研究では、仕事外(9)仕事中(7)のいずれかで、上司と従業員の相互関係改善を目的としたリーダーシップの訓練を受けました。
5つの研究が作業環境の設定の仕方を訓練し、2つの研究がオフザジョブで、3つの研究がオンジョブでした。
21の研究ではフォローアップ時に、トレーニングなし、偽トレーニング、その他のトレーニングを行った23の介入を比較したものになります。
トレーニングをしない群と比較した場合、従業員のストレスまたは欠勤に対するリーダーシップを得る訓練の影響はないことが示唆されました。
リーダーシップを得る訓練が、トレーニングなしと比較して従業員の幸福を改善する可能性がある場合と、改善しない場合があるという一貫性のない証拠が見つかりました。
2つの研究からデータが欠落していたため、トレーニングが従業員の福利に与える影響を計算できませんでした。
プラセボトレーニングと比較した場合、リーダーシップを得る訓練が従業員のストレス、または欠勤の状況に及ぼす影響はありません。
1つの調査からデータが欠落していたため、トレーニングが従業員の福利に与える影響を計算できませんでした。
従業員のストレスを軽減するために別のタイプのトレーニングと比較してリーダーシップを得る訓練を評価したある研究では、その効果を計算するのに十分なデータが提供されませんでした。
レビューアの結論
制御された介入研究の小規模で不均一なサンプルに基づいて、監督者の行動が従業員の健康と幸福に影響を与えるという一般的なコンセンサスとは対照的に、監督者のトレーニングが従業員の幸福を改善する場合と改善しない場合があるという一貫性のない証拠が見つかりました。介入。他のすべてのタイプの介入と結果については、かなりの効果の証拠はありませんでした。しかし、エビデンスベースの質が非常に低から中程度であるため、明確な結論は現在のところ保証されていません。上司のトレーニングが従業員のストレス、欠勤、および幸福に及ぼす影響を明らかにするには、適切に設計された研究が必要です。
まとめ
このレビューの中に「リーダーシップを得る訓練」と記載していますが、正確には人事管理トレーニングのことになります。
HRM(ヒューマン・リソース・マネジメント)とも呼ばれ、特別に行われるようなものではなく、人材管理をする人事部などの仕事になります。
コメントにもありましたが、エビデンスの質から、この介入が微妙だったことは実際の結果と同様なのかは不明であり、HRMを否定する理由にはなりません。
これらを見ても、個人的にリーダーに適応した人材に出会ったことはなく、皆が個人の利益を追求しているような節を垣間見せるような人たちがほとんどでした。
少し喋れば、そこらへんの自己啓発セミナーで習ってきたような叱咤激励を言ってくるような人たちでしたが、そんな職場ではストレスも溜まっていました。
すべてを鵜呑みにすることは出来ませんが、要望を聞いてくれて、相談にも乗ってくれる上司がいる職場が欲しいものです。
※優れたリーダーシップは生来の影響もありますが、訓練次第で何とかなるって心理学の研究もあります。
Kuehnl A, Seubert C, Rehfuess E, von Elm E, Nowak D, Glaser J. Human resource management training of supervisors for improving health and well‐being of employees. Cochrane Database of Systematic Reviews 2019, Issue 9. Art. No.: CD010905. DOI: 10.1002/14651858.CD010905.pub2.