今回は風邪の予防とビタミンCについて
研究の内容
11,306人の参加者を対象とした29の試験をレビューしたものとなります。
これらの研究は、試験期間中に定期的なビタミンC摂取を行いながら、風邪の発症するリスク比(RR)のメタアナリシスに貢献したものとなります。
このうち、10,708人の参加者を対象としたコミュニティ試験では、プールされたRRは0.97でした。
計598人のマラソンランナー、スキーヤー、および兵士が亜寒帯の運動を行った5つの試験では、プールされたRRは0.48でした。
31つの研究による比較では、通常のビタミンCが一般的な風邪の期間(9,745人の参加者)に及ぼす影響を調べていました。
大人では風邪の期間が3~12%減少し、子供は7~21%減少しました。
子供では、1〜2g /日のビタミンCが風邪の期間を18%短縮しました。
風邪の重症度は、定期的なビタミンCの投与によっても軽減されました。
7つ試験による比較では、治療用ビタミンCの効果を調べました。(3,249人の参加者)
治療試験では、風邪の期間や重症度に対するビタミンCの一貫した効果は見られませんでした。
含まれた試験の大部分は、無作為化二重盲検試験でした。
ランダム化されていない、または二重盲検ではない試験を除外しても、結論に影響はありませんでした。
レビューアの結論
The failure of vitamin C supplementation to reduce the incidence of colds in the general population indicates that routine vitamin C supplementation is not justified, yet vitamin C may be useful for people exposed to brief periods of severe physical exercise. Regular supplementation trials have shown that vitamin C reduces the duration of colds, but this was not replicated in the few therapeutic trials that have been carried out. Nevertheless, given the consistent effect of vitamin C on the duration and severity of colds in the regular supplementation studies, and the low cost and safety, it may be worthwhile for common cold patients to test on an individual basis whether therapeutic vitamin C is beneficial for them. Further therapeutic RCTs are warranted.
まとめ
予防という点におけるビタミンCの定期的な摂取は、一貫した結果による報告がされていないので何とも言えません。
しかし、風邪をひいた後の期間については、短縮させる報告が数例ありますので、そちらに関しては期待が持てるのかもしれません。
また、一般的な生活を送っている人よりも、アスリートなどの環境に身を置く人にとっては、日常的なビタミンC摂取は役に立つ場合があります。
上述の記述の中には、成人よりも子供での効果による報告があったため、これらの話は子供の方が期待できる話である可能性があります。
悪影響による被害報告がないため、摂取していても問題はないかと考えられますが、摂取していても利点が少ない可能性もあります。
そういったコストを無視しても予防効果を信じたい人に、止めた方がいいということはいいませんが、そういうことです。
Hemilä H, Chalker E. Vitamin C for preventing and treating the common cold. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 1. Art. No.: CD000980. DOI: 10.1002/14651858.CD000980.pub4.