今回は胃の腫瘍とヘリコバクターピロリ菌の根絶について
世界的にも死因の1つとして、代表的なものとなってしまっている胃癌ですが、それの原因としてヘリコバクターピロリ菌による感染が関連することがわかっています。
単純に、ヘリコバクターピロリ菌を根絶したら胃癌のリスクが減少するようにも思えますが、実際にその研究をレビューしているものを紹介します。
研究の内容
2020年2月2日までの文献を対象とした検索では、7件の試験が見つかり、それらをれびゅーしたものになります。
このレビューには、8323人の参加者が含まれ、バイアスのリスクが低い4つの試験も含まれていました。
これらの研究のうち、6つはアジア圏で行われたものになります。
ヘリコバクターピロリ菌に対する抗生物質投与は、胃癌の予防にわずかな効果があることがわかりました。
治療を受けた4206人のうち、68人は治療を受けていない、またはプラセボを受けた4117人のうち125人と比較して、その後胃癌が発症したことが確認されています。
胃癌による死亡者数の減少数はこのようになっています。
・3147人のうち59人と比較して、3154人のうち36人が抗生物質投与が行われた参加者となっていますが、それらが何らかの理由により、死亡数を増減させるのか、それとも食道癌の症例数を増減させるのかは不明となります。
治療の副作用に関するデータはほとんど報告されていません。
レビューアの結論
We found moderate certainty evidence that searching for and eradicating H. pylori reduces the incidence of gastric cancer and death from gastric cancer in healthy asymptomatic infected Asian individuals, but we cannot necessarily extrapolate this data to other populations.
まとめ
結果としては、今回のような治療方針は胃癌の発生率を減らすような示唆がありましたが、他の環境や人種などで同様のことが言えるのかはわからないということでした。
その人の現病歴や既往歴、家族歴などで変化が出そうな話でもありますので、そう単純ではないということでした。
治療の内容については、担当の医師と話し合うことが良いのかと思われました。
Ford AC, Yuan Y, Forman D, Hunt R, Moayyedi P. Helicobacter pylori eradication for the prevention of gastric neoplasia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2020, Issue 7. Art. No.: CD005583. DOI: 10.1002/14651858.CD005583.pub3.
