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This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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Use of injectable collagen in partial-thickness tears of the supraspinatus tendon【棘上筋腱とコラーゲン注射】

Thursday, February 11, 2021

整形外科



 今回は棘上筋腱の部分断裂と注射療法について

棘上筋腱の部分断裂が起きた状態に対する注射療法というのは、現状治療の選択肢として考えられる方法の1つとなっています。

この治療法を選択するしない、ということを何の基準で決めるのかはその人の価値観によるものかと思われます。

紹介するのは、研究を纏めた論文ではなく、症例報告からどうなったのか?ということについてです。

1つの体験談などで、背中を押されている感覚を大事にする人にとっては参考になるかもしれないものとなっています。

症例報告


・2018年3月

・55歳の右利きの女性

・主訴は左肩の痛みと機能制限

・物理療法とリハビリテーションを受けに来院(2ヶ月間継続)

・全身性、遺伝性の障害なし

・外傷、外科的介入なし

・アレルギーなし

・喫煙歴なし


この女性は、甲状腺機能低下症に苦しんでおり、レボチロキシンナトリウムによる治療を受けていました。


そして、週に2回、体操を習慣的なものとしていました。


この時点で、肩の痛みに対して休息、非ステロイド性抗炎症薬と行いましたが、改善しないまま理学療法にて治療を受けていました。


身体検査に基づき、左棘上筋腱断裂の関与を疑った。

X線で肩関節変形性関節症を除外しました。


米国の骨格筋で20年以上の経験を持つ放射線科医によって実施された肩の超音波検査は、棘上筋腱の関節面の部分的な厚さの裂傷を明らかにしました。(エルマン分類によるグレードII)


理学療法と組み合わせて、週間隔で2mlのブタI型コラーゲンを米国がガイドする一連の4回の腱内注射で患者を治療することにしました。


研究の完全かつ明確な説明の後、患者はインフォームドコンセントに署名するように提案されました。


注射は前方アプローチを使用して、10年以上の経験を持つ1人の医師によって行われました。


患者は、棘上筋腱をできるだけ露出させるために、腕を内旋させた状態で椅子に座っていました。


この肢位は、患者の腕を背中の後ろに置くことによって行われました。


22ゲージの針は、針の先端が正しい位置に見えるまで米国の指導に従って、棘上筋腱の裂け目に向けられ、その後コラーゲンがゆっくりと注入されました。


物理運動療法は、最初の注射から開始し、3回/週を1か月間行い、30min/1回のセッションで実行されました。

肩の可動域と強度を回復することを目的として、運動の再教育と固有受容感覚の運動で構成されました。


患者は、登録時(T0)、3回目の注射の直前(T1)、最後の注射から1か月(T2)、3か月(T3)、18か月(T4)にConstant–を使用して評価されました。


これらの介入に対して、患者は素直に従い、期間中有害事象の報告はありません。


Point

・診断において、超音波検査の感度は46~95%、特異度は50~95%の範囲である報告がある。

そのため、超音波検査は実施者の臨床数などに左右されるため、見逃されることもある。


・一般的に保存療法が選択されるが、開始から6~12週で変化が見られない場合は、外科的療法の選択も視野に入れる。


・理学療法と注射療法の組み合わせは一般的な選択肢であるが、短期的な結果しか提供されていない。


・様々な注射法が検討はされているが、腱の培養試験により、Ⅰ型コラーゲンが減少しⅢ型コラーゲンが増殖していたため、Ⅰ型コラーゲンを投与した今回の症例では結果として前向きなものにはなった。

しかし、他の注射療法が実施されておらず、Ⅰ型コラーゲン単独での効果が得られたとは考えづらいことも踏まえ、今回の症例では制限もある。


まとめ


私の臨床経験上でも似たような症例に出会ったことがあります。

損傷部位と介入期間は異なっていますが、保存療法に注射を組み合わせたことで疼痛の軽減が顕著に見られたものになりました。

稀にですが、介入期間の見誤りにより、疼痛の軽減しそうな状況でも叶わなくなったり、損傷箇所の見極めが出来ていないため、損傷を拡げてしまっていたりする症例も見たことがあります。

患者視点として、1つの治療法を試すという時は、2週~3ヶ月で区切って試すことをおススメしたいです。

人によっては、奇跡を求め、1度で疼痛が消失することを望む人もいますが、現実はそうなることは少ないです。

また、医療提供側も奇跡を求め、1度行った方法がダメだったからといって諦めることもよくありません。

結果が出ない時は、方法自体が良くないこともありますが、方法のやり方自体の習練が低いこともあります。


と、自分に言い聞かせました。


Bruno Corrado, Ilenia Bonini, Vincenzo Alessio Chirico, Nicola Rosano, Pietro Gisonni, Use of injectable collagen in partial-thickness tears of the supraspinatus tendon: a case report, Oxford Medical Case Reports, Volume 2020, Issue 11, November 2020, omaa103,

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