KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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Strength training and aerobic exercise training for muscle disease【筋疾患に対する運動】

Monday, February 1, 2021

運動



 今回は筋疾患に対する筋力トレーニングと有酸素運動について


紹介するレビューは、筋疾患に対して行われる筋トレと有酸素運動についての効果の有益性を検証したものです。

よって、一般的な人が自分自身で実践しようと思って、この結果が適応されるとは考えづらいものになるため、医療提供者や介護業従事者などが見たら使える知識となるものになります。


研究の内容


有酸素運動、筋力トレーニング、またはその両方で介入された14の試験をレビューしたものになります。


運動期間は8〜52週間で、

・顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)

・皮膚筋炎

・多発性筋炎

・ミトコンドリアミオパチー

・デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)

といった疾病をもつ428人の参加者に対して行われたものです。


参加者の盲検化が不可能であったため、バイアスのリスクは変動し、一部の試験では結果評価者を盲検化せず、一部の試験では治療意図分析を使用していません。


筋力トレーニングとトレーニングなしの比較

FSHDの参加者(35人)は、肘屈筋の動的強度、肘屈筋の等尺性強度にほとんど影響がないという低い確実性の結果が出ています。


足首背屈筋、足首背屈筋の動的強度についても同様のことが言えます。


筋緊張性ジストロフィー1型の参加者(35人)は、等尺性手首伸筋力のわずかな改善がみられる非常に低い確実性の結果が出ておりますが、グリップ力への影響はまったくありませんでした。 

ピンチ力、等尺性手首屈筋力でも影響はなかったと言われています。


有酸素運動とトレーニングなしの比較

DMDの参加者については、脚の回転数、腕の回転に関して、改善したという非常に低い確実性の結果が出ています。


FSHDの参加者については、有酸素能力の改善の確実性の低い証拠があり、膝伸展強度への影響はほとんどありませんでした。


皮膚筋炎および多発性筋炎の参加者(14人)では、有酸素運動トレーニングの効果に関するエビデンスの確実性は非常に低いものになっています。


筋トレと有酸素運動の組み合わせとトレーニングなしを比較

若年性皮膚筋炎の参加者(26人)では、右、左側で膝伸筋強度の改善がみられたが、エビデンスの質としては低いもの。

しかし、右、左側の股関節屈筋の最大力にほとんど影響がないという低い確実性の結果が出ています。


この試験はまた、有酸素運動に対する能力のわずかな減少が見られましたが、低い確実性の証拠となります。


皮膚筋炎および多発性筋炎の参加者(21人)では、右側の膝伸筋の動的強度、および測定した筋力のわずかな増加が見られましたが、非常に低い確実性の証拠となります。


8つの異なる筋肉の等尺性筋力に明確な影響はなく、インクリメンタルサイクルテストで実施された最大酸素摂取量や持続力を測定したところ、有酸素能力の増加がある可能性があります。


ミトコンドリアミオパチーの参加者(18人)では、肩部の筋肉、大胸筋に対して改善するという非常に低い確実性の証拠があります。


筋緊張性ジストロフィー1型の1つの試験(35人)は、複合トレーニング後の筋力または有酸素能力に関するデータを提供しませんでした。


この試験では、1人で筋力が低下し、1人で日中の眠気が悪化しました。


ほとんどの試験では、筋肉痛または関節の愁訴以外の有害事象は報告されていません。



レビューアの結論


筋力トレーニングと有酸素運動の介入に関するエビデンスは不確かなままです。エビデンスは、筋力トレーニングだけではほとんどまたはまったく効果がない可能性があり、有酸素運動トレーニングだけでは有酸素能力の改善の可能性があることを示唆していますが、FSHDの参加者のみが対象です。有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせた場合、皮膚筋炎と多発性筋炎の人の筋力と筋力がわずかに増加し、若年性皮膚筋炎の人の有酸素能力がわずかに減少して筋力が増加することがあります。堅牢な方法論とより多くの参加者によるさらなる研究が依然として必要です。



まとめ 

これらの介入を行う人は、詳細な筋力や出来る運動能力などの記録を行いながら、変化を行っていかないと改善目的の介入の意味がないようにも思えました。

トレーニングの内容でこの結論変わるのじゃね?と思う方もいるかもしれませんが、現状の科学的研究結果では筋肉の発達に関してはこのように考えられています。

・個別に鍛えても有用な結果は出ない
・重量を増やすよりもセット数を増やした方がいい
・トレーニング直後のタンパク質の補給のエビデンスがない

などなど。

こういったことから、メニューを凄く工夫したとしても、結果に凄く違いが出るのか?ということも考え物です。

負担だけ増えてしまいそうにも思えますので、実施する際はしっかりと記録し進捗をとりながら、患者の気持ちもくみ取りたいものです。


Voet  NBM, van der Kooi  EL, van Engelen  BGM, Geurts  ACH. Strength training and aerobic exercise training for muscle disease. Cochrane Database of Systematic Reviews 2019, Issue 12. Art. No.: CD003907. DOI: 10.1002/14651858.CD003907.pub5. 

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